第17話
次の日、私とクレアは今後の旅団員達をどうするか、また私自身の今後の話を開始した。
森羅旅団を知っているか?
とクレアに投げかけるとすぐさま反応した。
「戦争の行軍中や輸送の際に騎士団を襲うテロリスト集団ですよね?最近活動を耳にしておりませんが、知っていますよ。」
それ、私達なんだよ。
と伝えると心底驚いていた。
旅団を作る経緯から、活動を制限した事などを大まかに伝えた。
いずれも私の指示のもとで動いていた。
そして、この仲間達にどうにかして安心安全な暮らしを確立させたいなどの旨も伝えた。
「我々は実際に被害を受けた事もなく、上の上層しか旅団の話は知らないと思うので、例えこの領内で旅団の事がバレても皆???っそうなんだくらいの反応だと思いますよ。」
「そうか、この地域で活動していなくて良かったと心底思っているよ。」
「この領内で何か必要なら仰って下さい。兄さんをこれまで支えてくださった方々なんです。少しでも力になりたいんです。」
「では、これからここで暮らすものもいるかもしれない。物件や土地などを少し借りることは出来るだろうか?元々この先の辺境へ当てもなく進んでいたんだ。クレアやこの領内の為に働くのを前提にお願いできないかな?」
「それは勿論問題ないですよ!すぐに手配しますね!」
「これから皆にも相談するような形で考えているんだけど、騎士団などに加入して街の治安維持等に貢献する者などその他仕事を割り振っていきたいんだけど…ひとつ展開したい事業があるんだ。」
「皆さん騎士団顔負けの動きをしていたのでとても嬉しいです!…事業、ですか?」
レオンはニッと笑い
「あぁ、ちょっと飲食業をしたくてね。」
1週間後……………
私はミュゼと斥候のベテランナイスミドルジェイク、ルークと市場調査で領の繁華街に来ていた。
ここ、オークス領は人口約18000人。
そこそこ大きい市であった。
広大で比較的豊かな土地の農作物。
特産物は採れた葡萄で作ったワイン。
この世界にもゲームと同じようにダンジョンがあり、探索者などダンジョンの資源を獲得し生計を立てている人達も多く行き交いする活発な街だ。
「レストランを始めるのは職としては良いのかもしれませんが、我々にできるでしょうか?」
ジェイクが最もな事を言う。
日頃諜報や魔物討伐、貴族への嫌がらせを活動としていたのだ。
今から接客業をするなんて普通に大丈夫か?と思うのは当たり前だ。
「大丈夫だ、ジェイク。君のようなナイスミドルで身のこなしも肝も据わっているような人が接客業に適性があるのだ。私が基本をしっかり教えるけどジェイクならすぐに身に付けて更なる高みに昇華する事だろう。」
「ミュゼ、君もだ。この半年私から知らない調理法を教わり、団員皆の胃袋を掴んでいたんだ。このオークス領でも皆に振る舞って笑顔を沢山もらおうじゃないか。」
「は、はい!頑張ります!チーフから教わった料理の数々は本当に美味しくて色んな人に食べてもらいたいと思います!」
屋敷を5.6程お借りして、団員の居住区を確保した。
団の前衛部隊は基本騎士団の配置を希望。
その他ジェイクやミュゼなどはレストランを開業するにあたって動いている。
まぁ、これに関しては希望だけでなく私自ら人を選別した。
適性もないのに無理矢理やらせたって可哀想だからね。
子供達は新たに孤児院を建設してもらい、そこで教養を学びながら生活できるようにクレアに打診した。
こちらの領内でも少なからずそういった子達がいるようだったので快く賛成してくれた。
因みにルークは
「俺はチーフの剣だから側にいるんだ!」
と訊かなかったので私の護衛としている。
近接は苦手なので助かると言えば助かるので了承した。
今私は市場調査も含めてレストランの立ち上げを手伝っているが、元が貴族という事なので基本的にはクレアの仕事を手伝う流れになっている。
領主兄さん変わってください。
私は妹なので兄さんが納めるべきです。
など訳のわからない事を言っていたが、丁重に断った。
この世界での動きを封じられると何か起きた時対処出来ないからだ。
今戦争は冷戦中、いつ激化してもおかしくないので、その時は時空魔法を公に使ってでもクレアと団員、領内の全ての人を守ろうとは思っている。
さっさと主人公のジークがシナリオクリアしてからなら楽なんだけどねえ。
シナリオは1〜6まであり、一年周期だ。
私が転生して、あの場面が第一話だったはずなので今はちょうど半年を少し過ぎた所である。
流れ的にはこの先のラグナ公爵まで足を運び、王の隠し子姫様と出逢い、行動を共にする。
近くの村で魔物の反乱があり、これに対処するために主人公とその御一行は討伐に出る。
結果、間に合わず被害にあった生き残りの少年少女から石を投げられ
「戦争ばかりして大事な時に助けてくれない。お金と食料だけ奪って肝心な時に何もしてくれない。」などの罵倒を浴びせられ、
過酷な民の現実と今の貴族社会についてのあり方を考え始める。
確かそんな感じだったな。
まぁ徴税だけ厳しくて魔物への対策など疎かにして戦争してるんだから言われて当然だとは思う。
地図を確認したが、その村はこの領から20キロ程離れている場所にあるのを確認した。
リアルで生きている人々が脅かされるのだ。
私だってゲーム通りに事が進んだ方が安全なのはわかっているが、バッドエンドが先に見えているなら対処をしたいというのが本音だ。
レストラン、孤児院、他様々やる事はあるが、時間を見つけてルークと対策しに行くかなとレオンは考えていた。
半年間魔物で上げたがレベルもっと上げておきたいし。
レオン-グランド
レベル38
HP280/280
MP999/999
攻撃力72
守備力48
魔力218
魔防218
時空魔法マスター
火魔法
風魔法
水魔法
雷魔法
一通りスキルコストを使って魔法を覚えることができた。
この異常なステータスを見ていると北の魔法師団のトップの称号、ソーサラーを名乗っても良いと思う。
何度も言うが攻撃力から魔防まではゲーム上99でカンストだ。
魔法を放つと力が尋常でないのでこの数値は間違ってはいないのだろうが、とんでもない能力値だなと改めて思う。
因みに私と一緒にいるルークも力をとても付けた。
ルーク
レベル36
HP420/420
MP80/80
攻撃力80
守備力72
魔力25
魔防30
風魔法
攻撃力の異常な成長率。
ルークは元々ストーリーの中ボスの役割だったので強くなるのは知っていたがここまで上昇するとはと感動したものだ。
MPと魔力が微力ながら上がったのでスキルコストを消費して風魔法を使えるようにしておいた。
脳筋族なので風魔法で身体強化をすると正直並大抵の奴では太刀打ちできないだろう。
魔法が使えるようになってからハッスルしながら使っていたようだが、MP上最大二回までしか使えない。
まぁ二回使えるだけでも戦闘力が元々強力なので十分化け物じみてるのだが。
そんな事でしばらくレオン一行は現状を構築するべくせっせと行動をするのであった。
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