第6話

「「「いただきまーす!!」」」


孤児で預かっている子供達は12名

12歳から4歳程の年齢層だ。


レオン自身の年齢に関しては20代前半だろうか?長身の細身で中世の容姿で中々イケメンではある。

ルークとミュゼは幼馴染でどちらも15歳くらいの設定だったはず。

森羅旅団は他にも斥候やら首都に潜入している者も含めて50名程の規模らしい。

転生後主人公から襲撃された時に4、5人殺されてしまったので45名程か。


この世界での平民の命は安い。

一人二人死んだ、殺した所で貴族さえ危害がなければ家畜同然の扱いだ。

なんだってこんな世界に来たんだろうな、と考えながら豆をふやかしただけの味が薄いスープを食べる。


「先日の東の騎士団と西の騎士団との戦争で隣の村の田畑などが荒らされて食糧問題も深刻化しているみたいです。」


「俺たちも豆だけのスープじゃ何日も持たないよなぁ。また貴族の家襲って食糧庫から拝借するかー。」


我らが森羅旅団も同様に食糧問題が深刻だ。

団員を養うのにも大変なのに、孤児まで食べさせなければいけないのだ。

まともな仕事で賃金も貰っているわけでもない。仕事をしていたとしても戦争や徴税などで普通に生活するのも困難なハードモードな平民達。

良く生きてるな、感心するぞこの世界の人達は。そして、貴族達の圧政が酷すぎる。革命を起こしたい気持ちもわからないでもない。


「あ、そういえば団長、さっきのアジトで集めていたコレ、一応持ってきましたけどどうするんですか?」


ルークは小袋を懐から出してテーブルの上に置く。

転生前の記憶は全くないので、なんだと思い小袋を開けると小さな種が10粒ほど入っていた。


「種?か、何のだ?」


「いや、団長が死んだ部下に指示して集めていた物を持ってきただけなので俺は何もわからないです。」


ふむ、そうか。

このアジトの周辺は森に囲まれている。

魔除けの天使の涙のおかげで魔物や騎士団は意識を阻害されるので畑は作れそうだな。

レオンは自給自足を目指していたのか?

にしても今、食糧が欲しいのに種って。


レオンがわざわざ集めさせたんだから何かあるんだろうか。

前世のレストランでもハーブや野菜なども菜園を作ってお客様に提供していたので知識自体はあるので出来なくもないが、、、


魔法か。

それも、レオンの得意とする時空魔法。

時空魔法は基本的に主人公サイドは使えない。

冒頭でテレポートを使って死ぬレオンとラスボスの古代人だけが使う事ができるのだ。


まあ後ほど詳しく話すこともあるだろうが、古代人が使う時空魔法は速度を早めたり相手を遅くしたり、空間そのものを削るくらいしか使っていなかったな。



速度を上げることって作物にも有効なのだろうか?


どうせダメでもあまりデメリットも感じないので早速やってみるか。


「ご馳走様、ミュゼ。ちょっと外に出てくるよ。」

そういってレオンは種の入った小袋を手に外に出る。


まあ何もしていないから畑もないよな。

だが、森が豊かだから耕せばなんとかいけるか?


力仕事はこの体では嫌だからね。

せっかくこの世界に来たんだから魔法を使ってみよう。


そうして森の前に手を出し、レオンはつぶやく。



『グラビティ』

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