18
「あっ、終わったかな?」
男は立ち上がり、洗濯乾燥機に向かうと俺の服を中から取り出した。
「良かった。無事に終わりましたよ!」
「……おう」
Tシャツを広げて俺に見せる男は、そのまま服を畳み始める。その光景にすぐさま口を挟んだ。
「はっ?おい、何してんだよ!?」
「えっ?このままクリーニングに出そうと思って……」
男はキョトンとした顔で、当たり前だと言いたげに主張する。
「んなモンしなくていい!!クリーニングとか要らねぇから早く返せ!だいたい黒いから汚れなんてわかんねーだろうがよ!?」
「いや、でも……」
「俺がいいって言ってんだよ!早く寄越せ!!」
奪い取る様にして服を取り返し、羽織っていたパーカーを逆に返す。
「ほらよ、たく。とんでもねぇお節介野郎だな?」
「よろしいんですか?ほんっっとにスイマセン!!」
服を着ながら文句を告げれば、男は申し訳無さそうに頭を下げた。ふと、男の手に握られていたキーホルダーに目をやると先ほど言いそびれた言葉を口にした。
「それよりお前……」
「えっ?」
「名前。なんて言うんだ?」
そう訊ねると、男は一瞬間を置いてからハッキリと告げる。
「夢前 朧です!」
それは、アイツと同じ名前だった。
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