8
夏休み中、毎日の如く学校と家の往復が日課になっていた。お盆以外は部活の関係で開校しており、オバケは俺が行く度にちゃんと俺の前に現れた。
「よぉ。来てやったぞ!」
「ホントに来たんだね。夏休みなのに…」
その言葉から始まった夏休みは、いつもの様に二人で他愛のない話をしたり、携帯ゲームを家から持ち出して遊んだりと今までとは打って変わった奇妙で有意義な夏休みになった。
そして今日もまた、オバケと同じ会話を繰り返していた。
「だ~か~ら!!学校が好きだからじゃねーって言ってんだろうがっ!」
「分かってる分かってる。僕が好きなんだよね?」
「はぁっ!?誤解招く様な言い方すんなっ!」
「えっ、違うの?」
「違くねぇけど、その言い方ヤメロッ!!」
「なんで?僕は好きだけど…君のコト」
「はっ?」
いつもの様に弾んでいた会話は、何故か突然途切れてしまった。二人無言のまま静寂な教室では時計の秒針だけが音を立てている。
刹那、俺の脳裏にある情景が浮かんだ。
誰もいない教室。
俺ともう一人の人物。
口にした告白。
それから────。
「なんか、変な雰囲気になっちゃったね。ハハッ……」
先に空気を裂いたのはオバケの方だった。ハッと我に返りオバケを見つめると、申し訳無さそうに笑っていた。
「オメェのせいだろうがっ!!」
「ゴ、ゴメン…」
俺が怒りに任せて叱咤すると、しょぼくれた様にオバケが謝った。その様子に呆れながらも俺の頭には先程の光景が蘇る。
『アレは一体……?』
それ以上、深く考える事を止めた。
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