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「なぁ、朧【おぼろ】。俺……お前のこと───」
放課後の教室。
俺はアイツの耳元で囁いた。アイツは目を見開き、たじろぎながらも俺の背中に手を回す。
「ぼ、僕も……だよ。新生【しんじょう】くん」
耳まで紅く染めながら、躊躇いがちに呟いたアイツは震える手で俺を抱き締めた。
ハッと我に返ると、ダチの声が耳に入る。
「よぉ!起きたか~?」
「あ?俺寝てたんだな……」
「おぉ。そりゃもうイビキをグゥグゥかきながら……「嘘つけ!」
ゴスッ
「う”っ!!」
相変わらず煩い奴の腹にめがけて拳をお見舞いしてから欠伸を一つ欠いた。
「いってぇ~~殴るなよっ!暴力反対!!」
「うるせー黙れよ。てか、今は何時だ?」
「いてて…今は六時限目で自習になった!」
黒板には白いチョークで自習と書かれており、皆はいつの間にか配られていたプリントそっちのけで、会話したりスマホを弄ったりと好き放題していた。
「先公いねぇのか……?」
「職員室に行ったきり戻ってきてねぇんだ。だから皆好き放題やってるわけ!」
「あっそ」
何も書き込んでいないプリントをチラ見してからまた欠伸を欠き机に伏せる。
「また寝んのかよ!?よく寝るねーお前は…成長期か?」
「おう。寝る子は育つからな…?煩くすんなよ!」
「りょーかい!」
下らぬ時間は寝るに限る。どうせすぐに鐘が鳴り、今日の授業は終わるだろう。そう思って目蓋を閉じた。
目蓋を閉じたら、また、先程の夢を見た……。
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