3

オバケと出会ってから数ヶ月後。学生のイベント行事である修学旅行が近づいていた。


「もうすぐ修学旅行だとよ…」

「良いなぁ。楽しそうだね!」


いつもの様に放課後残ってその話をしたら、オバケは机に座りながら足を動かし、なんとも楽しそうに話を聞いていた。


「お前もついて来いよ。同じ班に入れてやる!」

「僕は行けないよ。この教室から出られないもの」

「……だよなぁ」


そう、コイツは“オバケ”だ。この教室限定の所謂地縛霊らしい。だからこの教室からは出られないのだと本人は言っていた。


「一緒に行けりゃ良かったのになぁ…?」

「残念だったね」

「数日間は会えねぇしなぁ。寂しいだろ?」

「別に……」

「おい。そこは寂しがれよ!」


オバケは仕方なしに『分かった』と笑う。それが何とも腹立たしい。


「お土産買ってこねーぞ?」

「要らないよ」

「菓子がいいか?それとも名物品か?」

「お供え物する気?僕、口はあるけど食べられないんだけど……」

「じゃあ食いもん以外に何か買ってきてやる!!」


『ホントに要らないからね?』そう言われて此方も意地を張り『絶対に買ってきてやる!』と念を押す。オバケは溜め息混じりに笑って、じゃあ楽しみにしてると渋々呟いた。

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