第2話 ありがたい新たな出会い?
「ここ、1組だけど。なんで居るの?」
白髪のそんな言葉に淡い期待を消し去られてしまった数秒前の俺。ご愁傷様。
「は?お前、何組だよ。」
「もちろん1組だけど。だからここにいるんだけど。」
「いや。俺も1組だけど。どーゆーことだよ。」
「キミ、クラス見間違えたんじゃない?」
「んなわけあるか。ちゃんと1組だった。」
「おかしいな。僕が見間違えたかな…」
よくわからん論争を繰り広げていたそのとき、
「君たち、そこで何やってるんだ?」
開けっぱだった教室のドアの近くから呆れ気味な声が聞こえた。
ふと前を見ると、自分と同じくらいの背をした、センターわけのふわふわな青髪に赤い目、左目に紐1本に楕円形の黒い眼帯をつけたイケメンが、呆れ顔で立っていた。
「あ。カイ。おはよ」
白髪がその人物に挨拶をする。
「ん、おはよう。君たち、何してるの。こんなところで。」
「カイ」と呼ばれた人物は、またも呆れた声で返す。
「ねぇカイ。この子も1組なんだって。今回のクラス分けどうなってんの…?」
「…ふ~ん。ねぇ君、名前は?」
「…レイ。」
「レイくんね。確かに、君も1組だったね。」
何で知ってんだよ。
「また今年も学年全員分のクラス覚えたの?いい加減、僕も怖いよ。」
「えぇ…。意外と簡単だし、楽しいぞ~?覚えるの。」
「…この学年、何人いて何クラスあると思ってんの。」
「ん~…。八百人、三十二クラス…くらいか?」
「八百四十九人、三十四クラス。よく覚えられるよね。」
「結構簡単だぞ?なんとなく覚えた名前とクラスを、聞いた名前に当てはめてるだけだし。」
「…へぇ~」
白髪と青髪が、俺を置いて会話を繰り広げる。
…せめて教室に入らせてくれ。
そんな俺の思いに気が付いたのか、青髪が俺に話しかける。
「あ。放ったままですまない。カイトです。よろしく。」
青髪を揺らしながら、紳士的に微笑む。
そして、隣でスーッっと息を吸う音が聞こえた。
「…僕、まだ自己紹介してなかった。」
白髪がそう言った瞬間、カイトからどす黒いオーラが…
「ごっごごごごごめんって!!!うっかり忘れてただけだって!!わざとじゃないって!!」
「じゃあ、今から自己紹介、できるよな?」
暗黒微笑をたたえる紳士。恐ろしい。
「でっ、できる!できるから!その笑顔やめて!!!」
なるほど。白髪はカイトに逆らえないのか。
良いこと考えた。ちょっとした仕返しだ。
「あ~あ。俺、名前も知らないヤツに散々バカにされてさ~…悲しいなぁ…(棒)」
「!?!?!?!?!?!?」
びっくりしてやがる。いい気味だ。
「カ…カイ?これはちょっと訳があって…」
「…問答無用!!早く自己紹介して謝りなさい!!」
「ごめんなさぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます