第16話 贈り物
「…なんだこれ。」
朝、目が覚めてビャクヤを起こそうとすると、アイツは部屋にいなかった。
で、ダイニングに行くと、机の上に小さなナゾの物体と、メモらしきものが残っていた。
「…。」
メモには、
『キミにはテレパシーとかテレポートとかも使えないだろうから、指輪を置いとくね。
この指輪には、僕の魔力が付与されているから、キミでも初級魔法くらいまでは使えるようになってる。
テレパシーでは、僕やカイ、ジンたちからキミに発信できるし、キミから僕たちに発信することもできる。
便利だから、肌身離さず持っておいて。 ビャクヤ』
と、書いてあった。
確かに、メモの隣に、黒色を帯びた小さな石のついた、銀色に光る指輪らしきものが置いてある。
「ん、地味にデカいか?」
石は小さいのに、指輪のサイズが俺の指にとっては少し大きい気がする。
そう思いながらも、右手の中指に、指輪を通す。
自分の指よりも一回りくらい大きい。
「やっぱちょいデケぇな…。」
そう思った瞬間、
「うおっ!?」
指輪が急に縮んで、俺の指にピッタリはまった。
…魔法か。
少しびっくりしてしまった自分にため息をついた。
そのとき、
「レ~~~~イく~~~~~ん!!!」
「う゛わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ゛!!!!!」
「えぇ反応やなぁ!!!」
後ろから急に飛びつかれた。
しかも飛びついてきたのはカイトのほう。
デジャヴ!!!!!!
ジンはこの状況で笑ってんじゃねぇよ。
てかお前、こうなんの予想してただろ。
「お前らなんで入ってきてんだよ。」
「え~、朝ご飯食べたいな~って思って、レイくんならまだいるかな~って。」
ニコニコしながら答えるカイト、頭がぶっ飛びそうなほどにうなずくジン。
そんな二人の指に、光る物があった。
「お前ら、それ…。」
「あ、これ?きのう父上に手紙を送ったら、『ビャクヤ様や友人たちと使うといい。』って、今日の朝、オレの実家から届いたんだ。」
「すげぇだろ、オレっちの石、レモンクオーツって石らしいぜぇ!!!」
俺が聞くと、カイトは、右手人差し指に飾ってある薄い青い石のついた指輪を誇らしげに見つめながら経緯を説明し、ジンは左手人差し指のレモン色の石のついた指輪を自慢げに掲げる。
「父上が、オレの送った手紙をもとに、職人たちに徹夜で作らせたみたいだ。
「すごいよな。」と、やはり誇らしげに笑うカイト。
カイトは多分、家族が大好きで、大切で、家族からも、愛されて、大切にされているのだろう。
その家族も、カイトと同じように、"髪色"で差別しないのだろうか。
きっと、しないのだろう。
やはり、子は親に似るのだな。
俺は、あの親と同じように、
"クズ"で、"ゴミ"な、 "嫌われ者" なのだから。
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