第4話 天然(ドジ)と小悪魔(確信犯)
黒板に貼ってある紙を見て、俺の席、中央列前から三番目、ほんっっっっっっとにど真ん中の席に着く。
「で、なんでキミが
引きつった笑みでこちらに問いかける俺の右隣にいる白髪。ビャクヤ。(ちなみにカイトはビャクヤの後ろの席)
「…知るかよ。」
だが問われたところで俺が知るはずもなく。
そのとき。
「ホームルーム始めんぞ~。」
そう言って教室に入ってきた三十代くらいの金髪の長身。
その金髪は一段上がった上にある教卓に冊子を置いて自己紹介を始めた。
「今日からこのクラスの担任を務める"ユート"だ。」
なるほど。担任か。しかも金髪ってことは魔力量はかなり多い。
さっきのビャクヤの「なんで居るの」も含めて考えると、やはり中等部でもクラスは魔力量別らしい。
しかもⅠ組がいっちゃん上の。
とんでもねぇ場違いじゃねぇか俺。
「Ⅰ組はエリートの中でも特にトップクラスの魔力量を持った者たちが集まるクラスだ。」
金髪先生…ユートセンセイは淡々と告げる。
そんな中、一人の生徒が手を挙げた。さっき俺らのことを話していた中の中心人物、金髪少女か。
…金髪多いな。
「どうした。ローラ。」
…コイツの名前、"ローラ"なのか。てかよく知ってんな。持ち上がりか?
「質問ですわ、先生。先生のおっしゃる通りなら、"黒髪"がここにいるのは納得できませんわ。」
…ごもっともだ。まったくその通りである。俺も聞こうとしていたところだ。
「…"黒髪"は特例だ。先日の職員会議でコイツを一度エリートたちの中へ入れてみてはどうだ、という案が出た。」
クラス内がざわつく。
当たり前だ。
「そんなんズルじゃね…。」
「いくら才能ないからってそこまでするか?」
「汚らわしい。これだから呪い子は。」
様々な声が飛び交う。
俺だって。
俺だって望んでここにいるわけじゃない。
突然、
そんな俺の気を知ろうともしないまま、周りの奴らは好き勝手言いまくる。
「それで、なんでそれが通ったんでしょうか。」
俺やカイトと話していた声とは想像もつ…かないわけではないが、ワントーンぐらい高い声とやわらかな笑みでユートに問うビャクヤ。
あんなに俺をからかってたコイツがセンセイに対して猫をかぶっている。その事実に少しびっくりしたと同時に吹き出したいぐらいの可笑しさがこみあげてくる。
思わずカイトを見ると…
「これが通常運転だぞ。」とでも言いたげな、ニコニコ笑顔のカイトがいた。
コイツ、こうなるのわかってたな…
そして、またもやそんな気すら知ろうとしないセンセイが話を続ける。
「…"白髪"とペアを組ませてはどうか、という案が出た。そうすれば劣等生も少しはマシになるのではないか、とな。」
めんどくさそうにそう答えたアイツにか、それともその回答にか、ビャクヤは一瞬顔を歪ませたのち、すぐさっきの笑顔に戻り
「そうですか。」
と返した。
そして、さっきから気のせいと思いたいほどの黄色い悲鳴が…。
いい加減耳壊れそうなんだが…。
そんな俺に気づいたのか、カイトは、(やはり)色鮮やかな髪色をした女子たちに向かって「しーっ」と人差し指を唇に当て微笑んだ。
いや、そんなことしたら…
「キャーーーーーーーッ♡♡♡」
ほら、言わんこっちゃねぇ。
ひどくなったわ。
当の本人、カイトは…
「あれ?」とでも言いたげな顔で小首をかしげている。天然かよ。
そしてビャクヤはというと、
手を振ってくる女子たちに対して、あの猫かぶりスマイルで手を小さく振り返していた。
ビャクヤ…?
お前は俺の耳を壊したいのか???
なんて思いながらなんとか耐え抜き、ホームルームが終了した。(いや、なんで担任大声注意しねぇんだよ。)
そして…
「この後入学式だからな。遅れんなよ。」
とだけ言い残し、ユートは教室を出ていった。
ぜってぇアイツ許さん。
…なんて。"許さねぇ"とか。そんなん俺に許されるわけないのにな。
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