中等部初日 イレギュラー多すぎ問題

第1話 ありがたくない新たな出会い

レイ 聖メルトリータ学園中等部1年 13歳 黒髪 黒目 劣等生。

それが俺。この世界唯一の無属性魔力なし。レイという呪い子だ。

今日は聖メルトリータ学園中等部入学式。

俺のクラスは…1組らしい。

…おかしいな。クラスは魔力量別だったはず。

実際、今まで俺は9組だとか10組だとか、そんな最底辺にいたんだが…。

いきなり1組か…。中等部ではクラスは魔力量別じゃないのか?それか人数が減って(9組に上がった理由はこれだった。)1組しかないとか?

…う~ん

……まいっか!!

このとき、途中で考えることをやめた自分を、数分後の自分が恨むことになるのを、俺はまだ知らなかった。


ー数分後

1組到着!多分中等部でもボッチ生活回避はできないよなぁ。なんて考えながら、もんのすごく高級そうな扉を開け…

ようとしたけど開かなかった。

…なんで!?

バァァァン!!!と叩いてはみたが開かない。

は!?

開くだろ普通ッ!!

「ぷふっw」

そのとき、後ろからバカにしたような笑い声が聞こえた。

「…誰だよ。」

俺は、そのクッソ失礼な人物にそう問いながら振り向いた。

その瞬間、目が合った。

「ふふっ。ごめんねwちょっとおもしろくってw…ふふっw」

「あ‟ぁ?」

きれいでふわふわな、後ろで結んである白髪。日の光を反射して輝く赤い目。やわらかなほほえみ。

あやうく見とれてしまいそうになった。それくらい、きれいだった。

てゆーかマジ失礼だなコイツ。

「ふふっ。ほんとごめんねwあとそれ、押し戸じゃなくて引き戸だよw」

「はっ!?はッはよ言えやッ…!」

「あはっ…wごめんねwおもしろくてついw」

引き戸だったのか…

今までの教室押し戸ばっかだったから、てっきり…

やっぱ中等部だからか…。(((

楽しそうに笑う白髪は気にしないようにして、取っ手を引いた。

やっと開い…てねぇ。

は!?

焦りながら、扉を力いっぱい引く。

…開かねぇ!!!

「ふっ…w」

「てめっ…引き戸じゃなかったのかよ!!!」

「ごめんごめんwキミ面白いねぇ…w」

「笑ってんじゃねぇよ!!」

俺、こんなコントみたいな展開求めてねぇんだけど!!

「ごめんってwそんな怒んないでwちゃんと教えるからw」

白髪は愉快そうに笑う。コイツ…人の不幸をなんだと思ってんだ。

「それね、本当は、スライドドアなんだwスライド式のドアw」

「なら最初っからそう言えよ!!!」

マジありえねぇ…てかスライド式だったのか…。

今度こそ、とドアの取っ手に手をかけた瞬間…

「あ。わかる?これはね、スライドさせて開けるから、ここ持って、右側にスライドさせるの。」

「わかるわそんくらい!!」

「ふふっwそう?よかったw」

俺は赤ちゃんか何かかってんだ。

そして、白髪は、ドアを開けて教室に入る俺に

「ふふっ。ねぇねぇ、キミ、ずっと顔真っ赤だよ?おもしろ~い!」

なんて声をかけてくる。

「うっせぇ!…てかお前、ここ1組だけど。なんで居んの。」

ドアの開け方を教えてはくれたが、ずっと俺のことをバカにしてくるコイツ。

どうか違うクラスであってくれ。なんて、ここまで来てありえない願いを含んで言い放つ。

「…?そうだよ。てかキミにそっくりそのまま返すよ。ここ、1組だけど。なんで居るの?」

そんな俺の淡い期待は、すぐに消え去ってしまった。

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