第12話 寮到着…。

はい。ついに寮に着きました。

寮の部屋割りの紙はロビーに掲示されているらしく、早速見たいのだが、

…混んでて全く見えねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!

え?なんか今回部屋移動のヤツ多いって話らしいな?

え?俺も移動とかねぇよな?

ねぇよな?な????

「あ、人空いてきた。行こっか。」

ビャクヤが俺の袖をくいっと引っ張って話かけてくる。

その姿を見て思った。

「ビャクヤお前、」

「?」

「小せぇな。」

「は゛?」

「ブッフォッッッッwwwwwwwwww」

思ったことをそのまま言ったら、ビャクヤにいつもより低めな声でキレられ、カイトとジンに吹き出された。

「ビャクにこんなに低い声出させるなんて、レイくんはすごいね~w」

「あ゛?なんだそれ。」

「レイくん、知ってるだろ~?ビャクは、地声なのもあるけど、いつも猫を被ってるから、声は少し高めなんだ。」

「カイ、何言ってんの?僕は猫なんてかぶってない。ほんとのほんとに地声なの。」

「はいは~い。そういうことにしておくね~。」

「そんなことよりよぉ、早く部屋番号確認しよぉぜぇ!」

「それもそうだな。早く確認すんぞ。」

ジンはよほど早く自分の部屋番号を知りたいのか、早くしようとかしてくる。

このままビャクヤとカイトの言い合いを放っておくと、(主にビャクヤが)大変なことになりそうなので、俺もジンの意見に賛成した。

「はぁ、もういいよ。見に行こうか。」

「てか、ビャクヤとカイトも自分の部屋番号知らねぇのかよ。」

「知らない。キミと相部屋で、カイが隣の部屋としか…。」

「去年のレイくんは、部屋番号どうだったんだ~?」

話しながら自分たちの名前を探していると、カイトがのんびりとした口調で聞いてきたので、

「俺?あ~、多分"三〇〇一"だったと…。」

「覚えてねぇのかよ。」

「角部屋でくっそ高かったってことしか…。」

本当のことを言ったら、ジンに珍しくツッコまれた。

「あ、みつけた。」

ジンとアホみたいなやり取りをしていると、落ち着いたビャクヤの声が聞こえた。

「え~?どこだ~?」

そのあとにのんびりしたカイトの声。

「あ、ほんまやぁん!!ここぉ!ここにあるでぇ!!!」

それに続く陽気でアホそうなジンの声。(え、オレっちだけ扱いひどくねぇ?byジン)

「ここってどこだよ。」

またまたそれに続く俺の少し低めの不愛想な声。

俺は、ここにいていいのだろうか。

コイツらにいろいろ言ってしまったが、ここにいていいのか、そんな迷いが今更こみあげてくる。

俺は"呪い子"。これは紛れもない事実で、逃れることのできない現実で、変えることのできない真実で、

もう、どうしようもないくらい、逃げたくなって、下を向いてしまって。

今更後悔したって、どうしようもないのに。過去にはもう、戻ることはできないのに。

もう、"あの人"には会えないのに。


…は?


"あの人"って誰だよ。知らねぇ。

俺がもう一度会いたい奴なんていない。

いない…はず。知らない。

でも、なにか、忘れている気がする。

なんだっけ。

誰だっけ。

忘れちゃいけない。

覚えておかなければならない"ナニカ"があった、はず。

なんだ。誰だ。俺の頭の中には、"ダレ"がいる?


「ねぇ、またぼーっとしてる。」

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