第7話 入学式始まりそう?…え、まじで????

なんとか入学式に間に合って、体育館の入り口付近で1組の列に並ぶ。

ちなみに、列は教室の席順らしい。

並んでるだけでもほかのクラスの奴らからの視線がエグい。

でも多分、視線を感じているのは、俺だけじゃない。

ジンはそこまで知れ渡っていないみたいだが、ビャクヤ、カイトは、当然さまざまな視線を受けている。

「カイ…」

弱々しい、ビャクヤの声。あの生意気な姿からは想像できないほど、顔が青ざめている。

「ん。ビャク、疲れたか?こっち、よりかかっていいぞ。」

「ありがと…。」

「カイト、ビャクヤどした?」

「ビャクヤさん、ごっつ辛そうやんか。」

「あぁ、走った後、ずっと立ってたから、ちょっと疲れちゃったみたいだ。」

「そうか。…カ、カイトも、辛くなったら、言えよ。」

「ふふっ。レイくんは優しいな」

「さっすがレイやわぁ」

「うっ、うっせ!!黙っとけ!!」

「もう、照れなくてもいいんだぞ~」

「ほんまにレイはよぉ照れるなぁ」

俺の周り、揶揄からかうのが趣味な奴、多くないか?

「何話してるのか知らないけど、入学式、もうすぐ始まるよ。」

カイトによりかかったままのビャクヤにジト目で睨まれる。

コイツ…ネコかよ。

「あぁ、すまん」

「教えてくれてあんがとなぁ!」

俺に続いて礼を言ったジンは、不機嫌そうなビャクヤの頭をわしゃわしゃとなでる。

「わっ…!か、髪崩れるから…!」

ビャクヤは、照れながらジンの手を退ける。

「ビャク、もうそろそろ入学式始まるが…」

カイトは心配そうにビャクヤの顔を覗く。

「ん。大丈夫。いけると思う。」

「…無理そうだったらオレ、レイくん、ジンくんの誰かに言うんだぞ?」

「わかってるよ。」

「そうか?なら良いんだが…。」

カイト、心配性すぎだろ。

「てか、お前らいつ仲良くなったんだよ。」

「ん?」

カイトは少し考えこむ仕草をしていたが、「ついさっきやでぇ!!」となぜかジンが、ニカッと笑って答えた。

「なんでお前が答えるんだよ。」

その返答に、俺は少し呆れ声で返す。

が、

「へへっ。ええやんけぇ!!!」

と、またもやニカッという笑顔で俺の背中をバシバシ叩いてくる。

痛い痛い。

「うるさいよ。入場門が近いんだから、もうちょっと静かにしないとじゃない?」

「それもそやなぁ!ありがとなぁ、ビャクヤさぁん!!」

カイトは俺のときと同じように背中をバシバシ叩こうとした、ジンの腕を掴み、

「ジンくん、ビャクはレイくんやきみみたいに頑丈じゃないから、そんな力強く叩いたら、ビャクが折れてしまう。」

「まじかぁ!!!かんにんなぁ…!!」

「だからうるさいってば…。」

「もうすぐ入学式始まんぞ~。私語終わらせて準備しとけよ~。」

教師らしき人物が生徒の近くをまわり、声をかける。

…そろそろか。

ほのぼの(?)としていたコイツらも、雰囲気が引き締まり、

ビャクヤはゆっくり深呼吸をする。

カイトはどこか戦いに行くような、やる気に満ちた笑みを浮かべる。

ジンは「よっしゃ」と右腕に力こぶを作り、こちらもやる気に満ちた様子で笑顔をたたえる。

俺は下を向いてふーっと息をき、また前を見る。

_聖メルトリータ学園中等部での入学式俺の新生活が幕を開ける。

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