第二十四章

 ゴールデンウィーク。

 山形のペット宿泊可のホテルに泊まった。

 四月上旬並みの暖かさで気分もいい。クロも元気そうだ。流石に桜はまだ咲いていない。好きなことを仕事にできるようになってから私はよく出かけるようになった。たまにわざわざ東京まで歩いて、新宿からわざわざ住宅街の方まで出る。混み合った新宿もこのあたりまで来ると少し落ち着いた様子になる。東京も生活している街なんだと思う。ただ東北に比べたら広さというものがやっぱり違う。車で走っていたら会津若松が見えるなんて、街なかじゃありえない。周囲が田んぼだからだ。

 「良いところだね、リナワールドも近いし」

 「うん」

 リナワールドは山形の遊園地だ。

 小学校の遠足で五年生か六年生あたりでよくこの場所に来る。近くてよく文句言う子もいるけど、でも、東北のこういう地方遊園地ってディズニーも良いけど、年を取ると―――二十代になるとその良さもわかる。

 「たかが二十一歳で何いってんだか」

 秋穂が呆れたように笑う。

 ホテルでチェックインした。遊園地がメインじゃなくってホテルがメインだ。天候に恵まれなかった時、今日みたいに春日和みたいな日なら良いけど、この時期の東北はまだまだ寒いから、寒すぎて遊園地どころじゃないときを考えていいホテルを厳選している。この場合のいいホテルはふたりで楽しいかだ。もちろんクロも。せっかく家族になったクロがお家でお留守番というのも可哀想だし、料金は高くなったとしても一緒に連れていきたい。

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