第2章〜動き出す秘密〜
第14話
同窓会から1週間後、千晶さんから招集のメッセージが入った。急ぎで聞いてほしいことがあるとのことだったが、由佳ちゃん以外は平日は仕事があるため、休日に皆で集まることになった。
近所のレトロなカフェで、それぞれ飲み物とケーキを注文した。
「火曜日のお昼、仕事から帰ったら旦那の浮気現場に遭遇した」
カフェオレのカップに手を添えて千晶さんが言った。
悲しいというよりは、悔しいという方が合っているだろうか。
「えっ!火曜日の朝ゴミ捨てに行ったら、旦那さんと会って普通に挨拶したんですけど」
「仕事に行くふりをして、家に誰もいなくなった頃に連れ込んだんだろうね」
由佳ちゃんはドン引きしながら、チーズケーキをフォークで1口分の大きさに切る。
今日は芽有ちゃんは、珍しく機嫌が良かった旦那さんと家でお留守番をしているらしい。お酒を飲んでいない時は機嫌を損ねないかぎり家事も育児も手伝ってくれるそうで、今日も快く送り出してくれたと言う。
芽有ちゃんのことを心配していないというわけではないけど、こういうたまの優しさが普段のDVなんて棚上げできるくらい、由佳ちゃんを麻痺させ続けているのだと思う。
「しかも相手がなんで、よりによって男なの…!」
千晶さんの言葉に、3人とも時が止まったように固まる。
「男…?」
「そう、男。女とかならまだしも、大学生の男。近所のコンビニでバイトしてる子らしくて。女に寝盗られるより悔しいんですけど!?」
そう言うと、ビールを飲み干すような勢いで一気にカフェオレを流し込んだ。案の定勢いよく飲みすぎてむせた千晶さんの背中を夜宵さんが優しくさする。
確かに。浮気されただけでも悔しいのに、加えて長年連れ添ってきた旦那さんが“男”と浮気なんて。女としてだけじゃなく、これまでの結婚生活まで否定されたような気分になるはずだ。
カフェオレのおかわりを頼んだ千晶さんがヤケになった様子で言った。
「この際、もう皆の秘密暴露してこ!!」
完全にお酒の席でのノリになっているが、誰もこの流れを止めることはできなかった。
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