第2話  匂い

英一は、「俺の家に行こう。もしかしたら元カノの洋服があったかもしれない」と、背がスラッとして居るハルカに、とても似合っていた。

黄色のショートパンツに、上は白Tシャツ、何ともスポーティーな格好であった。

英一は、「やっぱり似合って居るな?俺の目に狂いは無かった」と、写真をパチパチ撮り始めた。

ハルカは「何をするにゃ?私は、あなたのペットでも、モデルでもないにゃ」と猫語で喋って居るのが分かった。

英一のTシャツを脱ぎ、元カノの洋服を着せて居ると、ハルカが「この匂いは何にゃ?」と驚いて居た。

キツイ香水の匂いに、アミタイツを履いてヒールを履いて、英一の部屋に入って来た元カノのカノカが、「ゲッ、誰この子?しかも黒猫の尻尾まで付けて」と、ハルカの尻尾を引っ張ると、ハルカが「ミャアーーー」と痛いくらいの声を上げた。

カノカが「何?この子の尻尾?コスプレじゃなくて本物なの?」と驚いて居た。

ハルカが「みゃー。」と鋭い爪で、カノカの手を引っ掻いた。

カノカが「痛い。まさか?猫だったの?」と驚いてハルカを見て居た。

英一が「そうさ。突然、人間になってしまったみたいで、こんな姿になってから洋服が無くて、お前の洋服を着せたんだよ」と事情を説明した。

カノカが「そう。別に洋服なんか捨てるほどいっぱい有るから、好きなだけ洋服を着てくれて良いわよ」とタンスの中から、ワンピースを出し着せた。

カノカが「あなたに似合って居るわ。この洋服もあげる」とハルカに洋服を着せた。

その時にハルカが「ぐぅーー。お腹が空いたにゃ。魚にゃいかな?(魚ないかな?)」と英一におねだりをして猫座りして居た。

カノカが「何?この座り方?人間なんだから、そんな座り方辞めなさいよ。足を揃えて、座るのよ」とハルカに座り方を教えた。

ハルカが「こうかにゃ?」とカノカと同じ様に座り、英一が台所の網の上で、コンロで魚を焼き始めた。

ハルカが「美味しそうにゃ」と、魚を皿に乗せて、下に置くと、猫の時の食べ方で口から食べ始めた。

カノカが「はしたないわね?でも、しょうがないか?今まで猫だったんだし」とハルカを見て苦笑いをした。

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