第5話 居ない

英一が「ハルカ、帰ったぞ?お腹空いたろう?」と家の中に入って来た。

ハルカは、どこにも居なかった。

英一が慌てて、カーテンがめくれている、窓際を見て居た。

ベランダから、足跡が見えて、英一が「まさか?此処から飛び降りたのか?すごい運動神経だ」と関心していた。

英一が「そんな事をして居る場合じゃ無かった。ハルカーハルカー」と大きな声で、道なりに歩いて行くと、ハルカは、草原で眠っていたのか、ハルカの靴が見えた。

ハルカは、「にゃー?どうして此処まで連れて来たにゃ?」と、ユウダイが「ふふふ、君のことを狙って僕の家に監禁しようと思ってね?」とメガネの奥が怪しく光っていた。

ハルカは「みゃーー、助けてミャー」と大きな声で、英一は、「ハルカ、そこに居るのか?」と暗い中、懐中電灯を充てた。

ユウダイが「くそっ、邪魔が入ったか?」とメガネを掛けた男子を追って、英一は、「この野郎。お前か?ハルカを狙ったのは。もう、こんな真似をしたら俺が許さないからな」とユウダイの足を引っ張って、ノックアウトした。

ハルカが「英一にゃ。私はもう大丈夫にゃ」と英一に話し掛けた。

英一が「お前もお前だ。急に家から飛び出して、ベランダから飛び出して行ったんだろう?そんな危ない真似をするんじゃない」とおでこにデコピンをした。

ユウダイは、「ヒェーー」と叫んで思わずその場から逃げて行った。

ハルカは「ありがとうにゃ。あまり人間界の事は分からないから、生活していて分からない事ばかりにゃ」と英一に話をすると、英一が「兎に角、もうあんな真似はするんじゃ無いぞ。それから、お前の好きな魚買って来てやったからな?」と白い袋から出して魚をハルカに見せた。

ハルカは「みゃーみゃー」と洋服がするりと抜けて、元の黒猫の姿に戻ってしまった。

英一は、「どうしたんだ?ミャーミャー言って?お前はもう、人間に戻れないのか?」とハルカを見て疑問に思っていた。

ある時、英一は、その夜に不思議な夢を見た。

ブラックホールが「あの子は、不思議な力を私のブラックホールの中に入った為に身に付けた。だが、本当の人間になる為には愛する人とのキスをしなければならない。もし、出来なかったらハルカは猫のままで居ることになるだろう」と言う夢だった。

英一は「さっきの夢は何だったんだ?」と驚いて飛び起きた。

猫のハルカが、掛け布団の上で丸くなって眠って居た。

あれから、ハルカは人間になる事が無く、また平凡な毎日が始まって行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る