第6話 ナガサカ
部屋にキツイ香水の匂いがして居た。
カノカが「英一、英一?あ、起きた」とカノカの膝枕で眠って居たのだろうか?
英一は「あれ?俺は、確か自分の茶の間で寝て居たはずじゃ?」と疑問に思って首を傾げた。
カノカが「さっきから英一を呼んで居るのに、起きないんだもの」と面倒臭そうに言った。
英一は部屋の周りを見渡すと「確か、此処に猫は居なかったか?」とカノカに尋ねると、カノカ「へ?猫?そんなの前から居なかったでしょう?」と周りの皆が口を揃えて言っているみたいな感じがした。
英一が「まさか?ハルカ。何処にも居ない」と慌てて、外の自動販売機の下を覗き込んで居た。
そこには、黒猫はいなかった。
英一が「ハル…カ…?」と名前を呼んでいると、向こうから、ハルカの人間になった姿が見えた。
ハルカは、マナエと言う名前になっていた。
マナエは、「ハルカって誰ですか?私は、マナエですよ」と黒いマスクを掛けて、自動販売機のお茶のボタンを押して居た。
暖かい缶コーヒーのブラックを2つ買い、マナエが「これ、良かったら飲んで下さい。今日、この後に雪降るって言ってましたから、暖かい方がいいと思いますよ」と思わず缶コーヒーを英一に渡した。
英一は「ありがとうございます。マナエさんは、あの私の知っている知り合いのハルカって猫の女の子にそっくりで、会った瞬間びっくりしました」とマナエに話を振った。
マナエは「そうですか。あまり、そう言う事を言われた事がないので嬉しいです」と英一に笑顔で話をした。
英一は「マナエさんは、今は誰か付き合っている人は、居るんですか?」と言う質問に、マナエは「今は居ませんよ?」と即座に答えた。
英一が「じゃ、もし良かったら俺と付き合って下さい」と唐突に告白をされて、マナエは「えぇ、いいですよ」と英一の告白を受け入れた。
マナエが「でも、もしかしたら英一さんとは何処かで一度お会いした事がある様な気がする」と何故か笑顔に溢れて居た。
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