第一章 第4話
④
ハワード商会はアドニス王国の主要都市のひとつ、リチャード・フォン・アドニス公爵が管轄するアドニス大陸南の港町ケルスに本拠を置く、アドニス王国屈指の商会の一つだ。
5隻の帆船を保有し、国内航路2隻、外国航路3隻で国内外の大都市と交易をおこない、ケルン近郊の都市町村とは馬車による3商隊による陸上運輸も行っている。国内外には複数の支店を展開中だ。
商いの内容は主に、相手先で産出される鉱物や海産物、農産品(穀物・野菜・肉類・香辛料)やその他各種原産物の一次産業産物の買取と、希少価値のある葡萄酒やエール等の2次産品物の買取だ。資本投下して燻製肉、チーズ、バター等生産地加工事業も展開している。代価は2次産業産物、つまり加工した織物、装飾品、希少品等の2次産物加工品を各々の土地の事情に合わせて販売して稼ぐ。もちろん武器防具も扱う。需要が見込める場合には第3次産業、つまり、食堂や居酒屋、宿屋などの現地サービス業も展開している。
各種工業の集約が進んでいるケルスを拠点とするハワード商会は、その工業力を活用して産地から買い取った素材や製品を加工し、希少価値を高めて消費地へ運ぶ、所謂三角貿易を生業としているのだ。
海上部隊は大動脈のように大量輸送を行い、陸上部隊は毛細血管のようにラスト1マイルまで届ける役目を背負っている。扱う品目は制限を設けず手広く扱い年々増え続け事業規模は拡大中だ。
ハワード商会の商人見習いとなり早1年。初等王立学校時代から積み上げた汗と努力の結晶は実を結び、俺のステータスは順調に育っている。初等学校入学時に“アドステータス”を受けた後、DEXTERITYに期待をして努力してきて良かったと本当に思ってる。
シンバ・ハワード(13)
職業:商人
特殊スキル:DEXTERITY
スキル:剣術1、棒術3、身体強化
初級魔法火水土風複合
異世界言語
個人のステータスについては扱いを間違えると犯罪となる世界だけあり、スキルについて体系的に纏められた文献を家の書棚、街の本屋、学校の図書館で俺はまだ見たことがない。だが、家族や商会の知合い、学校の友人、先生等から慎重に集めたステータスや魔法の話と、俺の数少ない体験から感じた情報を俺なりにまとめると、“スキル“は以下のように整理できるのではないかと考えている。これは考察なので今後の展開で変更される個所が多々ある。
スキルについて(特殊スキル除く)
武術系
剣、槍、棒、斧、弓、盾、拳、暗器、その他
地道な繰り返し鍛錬で取得可能、取得容易性に個人差有
武器使用に補正が掛かり武器の扱に適切な体の使い方が出来る
使用回数や熟練度でランクが上がる
上位ランク程適切な体の使い方が出来る。スキル技の可能性あり
魔力未使用で体力の続く限り使用可能
強化系
身体、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、感覚を強化する
地道な繰り返し鍛錬の中で対象部位を意識し続けると取得可能、取得容易性に個人
差有
人間の体や五感等を強化する
ランクの存在不明、但し視覚強化の上位系と思われる夜目、千里眼の存在は確認さ
れている
魔力未使用で体力の続く限り使用可能
職業系
操船、騎馬、鍛冶、裁縫、木工、建築、採取、調合、錬金、解体、料理、その他複数の可能性あり
その職業に就き経験を積むことで取得する可能性あり、取得容易性に個人差有
職業に特化したものでこれを持つ人の作ったものは品質が良い
ランクの存在不明
魔力使用については不明
魔法系
初中上超魔法・属性 使用する魔素量小中大超・濃度小中大超・火水土風複合
決まった魔法発動の為の呪文はない。適当な魔法名でも発音すれば発動が早い気がする
術者のイメージが合理的具体的な場合に発動する
一度発動すると2回目以降は発動しやすくなり、回数を重ねる毎に速く発動
魔素量、魔素濃度が一定に達すると小→中→大→超とランクが上がると思われる
魔法の基本属性は火水土風、2つ以上の属性を合わせる複合もあり
魔素には限りがあり、限度を越して使用すると気絶する。
特殊魔法属性 鑑定、時空間、重力、光、闇
全ておとぎ話、伝説、噂話だが存在してほしい
少し長くなったが、纏めるとこんな感じになっている。
俺が既得の剣術1、棒術3、身体強化についてだが、正直なところ爺さんとの武術の訓練の賜物としか思えない。辛く厳しい打ち込みや防御を延々と繰り返していたらいつの間にか取得していた。
棒術についてはこの世界で初めて訓練で使った時に「筋が良いな」と言われ、その夜に“ステータスオープン”をしてみたら最初からレベル3だった。おそらく訓練時の極小の経験値に対するDEXTERITYの効果と前世での経験が加算され上での結果だったのだろうと思っている。
既得の初級魔法火水土風複合魔法については、あえて“魔素”と言っているが本質をついていると思っている。“瞑想”により丹田から体中に“魔力”を巡らせる訓練を始めた頃だ。魔法の発動の兆しはなかった。俺は前世の記憶を総動員して“火が着く現象”に付いて思いを巡らした。
木が燃えるのは、木の温度が上がり、炭素等の可燃物質が気化し可燃ガスとなり、更に温度を上げて可燃温度に達すると発火する。これを魔法に置き換えて考えてみる。魔力ではなく魔素としてみた時、魔素自体の温度を可燃温度まで高めて放出したら・・・
丹田から“ごそっ”と何かが抜ける感覚と同時に俺の指先に火が灯っていた。
初めての魔法発動だった。呪文もなし。掛け声も無し。ただ、イメージだけで魔法が発動した。正直「なんで?」って感じだったが、「消えろ!」と心の中で命じると指先の火は消えた。魔素の温度を可燃温度にして放出するイメージを繰り返した。その度に、丹田から何かが抜ける感覚があったが徐々に慣れたが、なぜか眠気が俺を襲う。5回目の発動を試そうとした時、俺は意識を失った。
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