第13話及ばぬ鯉の滝登り
*****
「ヴィクター様、ミレーナの妹のオレリア様とはよくお会いになりますか?」
「オレリア嬢は1年生だったかな?よく2年の棟にいるよね。ミレーヌ嬢に会いに来ているのかな?」
貴方に会いに来ているのですよ。あら、噂をすれば
「ヴィクター様!ごきげんよう」
あら、許可もとらずにヴィクター様の隣に座ったわ。一瞥だけして私には挨拶はなしね。
「…ヴィクター様は、最近セレナ様と仲がよろしいのですね。」
あら、そう見えます?嬉しいわ。
「私、心配です。セレナ様はその…仲がよろしいご令息の方が多いと皆さんおっしゃっているから…」
‥‥。
「心配には及ばないよ、セレナは毎日僕と一緒だからね。おかしな噂だね、ははは。」
「い、今はそうかもしれませんが…お友達もレティシア様しかおりませんし…それはつまり…性格がちょっと」
「セレナの性格?みんな良さがわからないんだね。でも私が独占する時間がたくさんとれてうれしいよ」
ヴィクター様の笑顔はいつも通り穏やかで、少しの戸惑いも感じない。ふふふ。
「…ヴィクター様、前にお話ししたこと覚えています?実は私、階段から落とされそうになったり、水をかけられたり、教科書を破られたりしたことがありますの…私はそんなこと思っていないのですけど…その…皆さんがセレナ様じゃないかって」
「セレナが?なぜ?」
「それは!!私とヴィクター様がお似合いだからその嫉妬したのだと皆さんおっしゃっていて、‥ふふ、なんだか照れてしまいます。」
傷ついたり照れたり忙しいですわね。精神が不安定ですわ。
「…皆さんって誰だい?」
「それは、お姉さまとか…王太子殿下とか!あとは…その…」
「…2人は皆じゃないよね」
あら、ヴィクター様、ちょっと『ざまぁ』っぽいですわよ頑張って!
「私‥そんなつもりじゃ・・・ぐす」
「怒ってはいないよ、ああ、泣かないで」
おろおろし、ハンカチを差し出すヴィクター様
…ああ、おしい!!
「でも、事実をしっかり確認しないで、人の言うことを鵜呑みにするのはどうだろうか。セレナなわけがないのだから、ちゃんと犯人を見つけないと。私も、もちろん協力するよ」
「え?あの…大丈夫ですわ…私が我慢すればいいことですので…」
あらあら、睨むのはやめていただきたいわ。ここまで私、一切お話していなくてよ。
「大丈夫!実はもう調べているんだ。安心して、すぐに真相がわかるよ」
「し、真相とは?」
「セレナが知らないうちに嘘が出回り、周りに混乱や誤解を招いている。私とセレナの関係を壊すために、誰かが、偽の噂を流している、許せないよね。だから、学院の新聞部にも協力をお願いしたんだ。」
「あのハイエナ新聞部!?そ、そうですの。…あ!私、急用を思い出しましたのでこれで」
そそくさといなくなる。いなくなっても事実は消えませんよ。
*****
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。