第21話喜びと悲しみが

校内の掲示板に貼り出されたテストの結果発表。

掲示板の前には多くの生徒が集まり、それぞれの思いが交錯している。喜びの声を上げる生徒たちは、友人たちと肩を組みながら満面の笑みを浮かべている。「やった!」「信じられない!」「努力が報われた!」といった歓声が飛び交う。彼らの目には希望が輝き、未来への自信が満ち溢れている。一方で、掲示板の前に立ち尽くす悲しげな顔も見られる。思ったような結果が出ず、涙をこらえきれない生徒もいる。



2年生の集大成であり、3年生でのクラス編成に大きくかかわるテスト。


ああ、緊張する。いや、私はもちろん首位よ、ミスをした覚えがないもの。ヴィクター様…どうだったかしら。ああ、自分のことより緊張する。あんなに頑張ったのですもの、きっと大丈夫。



あら、ヴィクター様がもういるわ。口元を押さえてプルプルしていらっしゃる。



え、どっち?よかったの?悪かったの?人混みをかき分けてヴィクター様の傍に近づく



ふと、私を見つけると、はじけるような笑顔で駆け寄ってきた。



「セレナ!!!やったよ!5位だ。ああ、これで君と同じクラスだよ。」


人目もはばからず抱き着くヴィクター様。ベタぼれ情報は流れていますが…さすがに恥ずかしいですわ。



「ヴィ、ヴィクター様、人目が…」


「ああ!!ごめん。はしたなかったね。でも嬉しくて、つい…怒ってる?」



機嫌を取るように顔色をうかがうヴィクター様



「ふふふ、怒ってなどいませんわ。一緒のクラスなんて最高ですわ。5位おめでとうございます!!」



そうだね、やったねと私の手を握り喜んでいる。


あら?私の視界の端にいらっしゃるのは‥‥





「ない…名前がない…」


「…あんなに頑張ったのに、アレク様もないの…」


悔しさや後悔の念が表情に現れている2人。重い沈黙が彼らの間に流れている。



王太子とミレーナ…また、欄外ですの…。


ということはBクラスにもなれませんね。Dクラスだったりして…



「はっ!!アレク様見てください!ヴィクター様が…」


「何!5位だと。なぜだ!!同じくらいの学力だったではないか…おい、ヴィクター!!」



何を怒っていらっしゃるのかしら?険しい表情でこちらにやってくる。



「なんだい?」



「お前のこの5位、どういうことだ!」



おめでとうも言えないのね、心が狭いわ。



「どういうことだって…勉強したんだよ。何?君も留学したあの令息と同じように不正を疑うのかい?」



「い、いや、そうではなく、急におかしいだろ…」



何でヴィクターが…と、小さな声でつぶやいている。



「おかしくないさ。首位のセレナと勉強しているんだよ。当然の結果だ。教え方がすごく上手なんだ。流石だね。今回も首位だし、私の自慢の婚約者さ。上のクラスを狙っていたのなら、君たちも教えを乞うとよかったのに」



え?そんな苦行、お断りですわ…



「セ、セレナに?い、いや…あーくそ!行くぞミレーナ」


「は、はい!」



口も態度も悪い、Bクラスにもなれない未来の王。誰が王命を聞くのかしら。



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