第14話新聞が明かす鯉の話
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ー婚約者を奪おうとした令嬢の陰謀ー
2日後、校内にでかでかと張り出された新聞の見出し。素晴らしいですわ、これなら多くの人々の興味を引きますわね。新聞部はこれまでも数々のスクープをつかんできたけれど、王太子の婚約者の妹に関する記事は出しにくかったでしょう。しかし、ヴィクター様が直接依頼したというのなら話は別。新聞部も喜んで記事を掲載したのでしょう。
ええ、もちろん、私も多くの協力を惜しみませんでしたわ。
ー嫌がらせは自作自演か!!ー
ー王太子を巻き込んでの婚約者略取、王命である婚約はいったいどうなる!ー
ー伯爵令嬢を貶めようとする陰謀の数々ー
ーお互いベタぼれの公爵令息と伯爵令嬢に割り込む女ー
こうした見出しの数々が、次々と校内の掲示板に大きく掲示される。
「見た? あの記事。まさかあの子がそんなことを…」
「信じられないわね。でも、ヴィクター様が依頼したなら本当のことでしょう。」
「王太子の婚約者の妹がそんなことをするなんて、想像もしなかったわ。」
生徒たちは、興味津々で新聞に目を通し、噂話に花を咲かせた。
「な、なんなのこれ…」
王太子、ミレーナ、その妹オレリアが呆然としている。あら、もう来たのね
「婚約者の妹を馬鹿にするとは!王太子である私を侮辱しているのと同じ。誰だ!!この根も葉もない噂を記事にしたものは!!罰してくれる」
新聞を破りながら怒り狂う王太子
「…許可を出したのは私だ。しかしこれは…。まさかオレリア嬢だったとは…」
口元を押さえながら信じられないといった表情でヴィクター様がおっしゃる。
「ヴィクター!これを信じるのか?」
「我が学院の新聞部の情報は、的確だ。優秀な新聞部部員の綿密な下調べと聞き込み。将来は王家の諜報機関を狙っている者たちだぞ。99パーセント間違いはない。」
顔を青くする王太子
「…それにしても、気になるな。王太子を巻き込んでとは?まさか、協力していたのではないだろうな。国王の名のもとに成立した婚約だぞ。簡単に覆してはいけないことくらい王太子のお前ならわかっているだろ?」
「あ、ああ、もちろんだ…」
「そんな!応援してくれると王太子殿下もお姉様もおっしゃったではありませんか!私の方がヴィクター様の横にふさわ・し…ふぐぅ」
ミレーナが慌てて口をふさぐ
「妹の叶わぬ恋の相談には乗っていました。名前までは聞いていませんでしたが…応援…いえ、慰めて…ねえ、アレク様」
「そ、その通りだ…我々はこれで失礼する。校内の新聞をはがさなくてはならない…」
オレリオ様が、『ひどいです!どうして…』と言っている気がする。口を押さえられているから、多分ですけど…。
うるさい人たちが急にいなくなり、静寂が戻ると、ヴィクター様は思い出したかのように顔を赤らめた。
「…ねえセレナ、『お互いベタぼれ』って言われると、照れちゃうね。」
「あら、99パーセント真実なのでしょう?」
ヴィクター様は、さらに赤く染まった頬を隠そうと手で顔を覆った。ふふ。
ああ、貴族の噂の広がりはあっという間。私のベタぼれは全く構いませんけど、あの子はどうかしら。
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