第10話蛙との勝負
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「また、謝罪を受け入れて…それに、セレナ、本当にマリアーノ侯爵令息と2人で試験を受けるのかい?」
ヴィクター様が少し驚いた様子でおっしゃった。
「ええ、皆さんも興味があるようでしたし、王宮で作られる試験にとても関心がありますの。これはある意味、一生に一度のチャンスかもしれませんから」
君は、全くと微笑むヴィクター様
「ヴィクター様のおかげで試験内容に条件を一つ付け加えることができましたし、全力で頑張りますわ。」
「そうかい?わかったよ、頑張ってねセレナ。応援している。」
『でも、これも「ざまぁ」って感じじゃないんだよな…正攻法の勝負なのか?』と首をひねりながら納得のいかない面持ちのヴィクター様。
ふふ、これからですわよ。
*****
ーsideマリアーノ侯爵令息ー
『え?なんだ…この問題。どういうことだ、ほとんど分からないではないか!! 』
王太子殿下に頼み、文官長に作ってもらった試験問題を解く。ああ、これで、ホフマン伯爵令嬢の化けの皮をはがせると昨日は興奮して眠れなかったが…レベルが高すぎないか?
試験会場には、ホフマン伯爵令嬢と学院の教師が数名。学院の教師の刺すような目つきは、気のせいか?なんだ?カンニングでも疑っているのか?失礼な!!
横から、カリカリを書き進めている令嬢のペンの音が鳴り響く。
この問題を解いているのか?嘘だろ…ああ、気持ちばかりがただただ焦る。どんどん時間が過ぎる。ああ、どうしたらいいんだ。
「そこまでです。」
試験官の声が無情にも響く。なんということだ、書けたところはほんの僅か…
「…この問題はどういうことだ。ホフマン伯爵令嬢…確か問題の作成に一つ条件を付けていたな。」
習っていないことが多すぎる。帰り支度を終えた令嬢がそばに来る。
「文官試験と同じレベルの試験。いかがでしたか?あら、マリアーノ侯爵令息。ずいぶんと顔色が悪いですわよ。問題そんなに難しかったですか?ふふふ」
文官試験と同じレベルだと!?
「意外な顔をなさるのね。あなた、宰相を目指しているのでしょう?卒業したら文官からスタートですわよ、こんな試験、余裕でしょう?」
「ばかな、だとしても今年ではない!習っていないことが多すぎる。」
また、こいつの策略か?馬鹿め、自分の首も締まるというのに…いや待てよ、書き進める音が聞こえていた…まさか!あの問題が解けたのか?
「ふふ、結果、楽しみですわね。学院の習った範囲のテストでは、僅差でしたけど。習っていない高度な試験。果たして僅差かしら?」
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