ダンジョン禁止命令 ※アルフレッド王子視点
婚約相手に会わないといけないという、憂鬱で面倒な時間。見た目はいい女だし、どんどんキレイになっていくアデーレ。彼女の成長具合を眺めるのは毎回楽しみではある。けど、俺と彼女では話が合わない。
俺に対してもっと従順で、可愛げがあれば楽しめるのだが。アデーレは無駄に優秀で、面倒な女だった。だから、この対面する時間は楽しめない。
仲良くするように言われているけれど、いつも黙って時間が過ぎるのを待つだけ。もちろん、俺とアデーレの関係は進展していない。婚約相手なのに。
そんな状況。
だけど今日は、いつもと違う。用意していることがある。これを言ったら、彼女はどんな反応をするのか楽しみだった。
いつも通り、約束の時間になってアデーレが来た。
「ごきげんよう、アルフレッド様」
スカートをつまみ、礼をするアデーレ。それだけで優秀だと分かるような、洗練された動き。
その後、彼女は俺の前に座って黙り込む。いつもなら、このまま無言の時間が続くだけ。しかし、今日の目的は違う。俺は、黙り続けているアデーレに話しかけた。
「またお前は、ダンジョンに入ったそうだな」
彼女の視線が、俺の顔に向いた。
「はい。許可を得て、万全の準備を整えてから探索しましたので問題ありませんわ」
「そんなことは聞いていない」
「……」
聞くと、素直に答えるアデーレ。必要ないことまでペラペラと。前に俺が止めろと言ったのに、俺の言う事を聞くつもりはないらしい。ならば、もっときつく言わないとな。
「今度、お前がダンジョンに入ることがあれば婚約を破棄する」
「それは……」
ダンジョンに入ることを禁止する。守らなければ婚約を破棄すると伝えたら、動揺した表情を浮かべる彼女。いつも無表情で余裕そうだから、こういう顔が見たかった。
婚約破棄は本気じゃない。見た目はいいので、もったいないと思ったから言っただけ。でも、彼女は信じたようだ。しばらく考えてから、彼女は答える。
「わかりました。アルフレッド様から許可を得るまで、ダンジョンに入るのは控えます」
「まあ、それでいい」
控える、か。言い方は少し気に入らないが、アデーレに俺の言うことを聞かせることに成功した。
なるほど。お前はそこまで、俺との婚約を望んでいるのか。俺との婚約を破棄されたくないんだな。この言葉を使えば、アデーレにも言うことを聞かせることが容易いことが分かった。大きな収穫だ。これから、重要な場面で使っていこうと思う。
今日は、とても気分がいい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます