望んだ形 ※ブレット王子視点

 まさか憧れだったあの人と、こんな関係になれるなんて。僕は、全く予想していなかった。


 アデーレ姉さんは元々、兄の婚約相手だった。僕は誘われて、一緒にダンジョンを探索する仲間でしかなかった。


 もっと良い関係になりたい。だけど、それは許されないこと。だから、それで満足だった。


 兄は、自らの手で彼女を手放した。アデーレ姉さんのような、素敵で素晴らしい人を。


 信じられない。兄は、もっとアデーレ姉さんを大事にするべきだった。


 きっと、彼女を大切に思っていなかったからこそ、あんな愚かな反乱を起こしてしまったのだろう。


 でも、僕はそうじゃない。心の底から、アデーレ姉さんを大事にすると誓った。


 だからこそ、僕は彼女に告げたんだ。


「新しいパートナーになってほしい」

「私でいいの?」

「僕は、君がいい」


 その言葉を口にした時、僕の鼓動は早鐘のように打ち鳴らされていた。これまでにないほどの緊張感に襲われていたと思う。


 アデーレ姉さんは、僕の想いを真摯に受け止めてくれた。そして、快く結婚を承諾してくれたんだ。


 今でも信じられない。こんなにも素晴らしい人と、結婚できるなんて。


 僕は、彼女を幸せにして、大切にしていきたい。


 彼女と一緒にダンジョンを探索し、冒険を繰り広げる。困難に直面した時は、互いに助け合い、乗り越えていく。


 最愛のパートナーと生涯を共にする。それが、僕の変わらぬ願い。




 結婚が決まって、あっという間に月日が経過した。僕は、結婚式当日を迎えた。


 厳かな神殿に響く音楽。花々に彩られた祭壇。そして、純白のドレスに身を包み、僕の元へ歩み寄るアデーレの姿。


 なんて美しいんだろう。まるで女神のようだ。その瞬間、僕の心が熱くなる。


 こんなにも素晴らしい人と巡り会えた奇跡に、心から感謝せずにはいられなかった。


 神父の前で、僕たちは誓いの言葉を交わす。


「アデーレ。君と出会えたこと、そして結ばれることができて、僕は心から幸せだ。

これから先も、君を愛し、敬い、そして支え続けることを誓おう。たとえ、どんな苦難が待ち受けていようとも、必ず乗り越えていこう。共に手を取り合って、人生を歩んでいこう」

「ブレット様。私も同じ想いよ。あなたと一緒になれたことが、私の人生最大の幸運だった。これからは夫婦として、互いを思いやり、助け合っていきたい。どんな時も、あなたの傍にいること。それが、私の誓いです」


 誓いのキスを交わした瞬間、会場から大きな拍手が沸き起こった。


 こうして、僕たちは夫婦としての新たな一歩を踏み出したのだ。


 アデーレの手を握りしめながら、僕は静かに目を閉じた。


 今までと同じように、これから先も続く彼女との冒険に満ちた日々を想像する。そう、僕たちの物語は、まだ始まったばかりなのだから。


 これから先も、最高の仲間であり最良の夫婦として歩んでいきたい。


 最愛の妻、アデーレと共に。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る