後悔だけ ※アルフレッド王子視点

 計画は失敗して、俺は辺境へ送られた。


 あれが成功していれば、今頃は俺が王になっていたはずなのに。邪魔されて、失敗してしまった。


 ただ、生きるだけの日々。外出も自由に許されない。部屋に閉じ込められたまま、まるで囚人と変わらない生活を強いられている。


 一体なぜ、俺がこんな扱いを受けなきゃならないんだ。全く理解できない。


 俺は王族で、次期王になるはずだったのに。こんなこと、許されるはずがない。


 怒りが湧き続ける。だけど、これを解消する手段もない。ただ、生きているだけだ。


 やることもない。娯楽すら許されない、ただ人生を浪費するだけの、単調で退屈な日々が続く。


 時折、王国の状況に関する情報が送られてくる。だけど、見たくもない内容ばかりだった。でも、見てしまう。


 俺が蹴落とされた後、弟のブレットが王座についたと聞いた。なんで弟が王様なんだ。そして、やつの妻がアデーレだと知った時は、愕然とした。


 あの2人は、ダンジョンという場所を利用して人材育成に取り掛かったらしい。


 その成果が出て、王国は以前に比べて何十倍も栄えているという。


 その栄光は、本来なら俺のものだったはずなのに。なんで婚約を破棄する前に、俺にダンジョンのことを教えてくれなかったのだろうか。それを知っていれば、今とは違う結果になっていたかもしれないのに。


 どうして俺から、王としての栄光を奪ったんだ。許せるはずがない。


 だけど今の俺には、それを訴える手段はない。ただ、ただ彼らの成功を見せつけられるだけ。


 こんな嫌がらせ。きっと今頃、あの2人は俺の境遇を知って笑っているんだろう。それが我慢ならない。


 どうにかして、俺のものを取り戻さないと。俺が正当な王であることを示さないといけないのに。


 でも、どうすればいい?ここから脱出する方法も、王位を奪還する手段も見当たらない。


「くそっ!」


 日々、怒りと絶望の中で、俺は生きている。


 周りを見渡しても、部屋の灰色の壁しか見えない。まるで、俺の人生そのものみたいだ。


「くそっ! くそっ!!」


 心の中では、弟とアデーレを恨み続けている。奴らに復讐を果たしたい。


 けれど、そのキッカケすら見つけられないのが現状だった。



***



 こうして、アルフレッド王子は死ぬまでブレット国王とアデーレ王妃を恨み、妬み、いつかは王位を取り戻すという野望を抱き続けた。


 しかし彼の欲望が満たされることは、一生ないまま。


 復讐を果たす機会も、王位を取り戻すチャンスも、永遠に訪れなかったのだ。


 アルフレッド王子の人生は、後悔と悔しさだけが残る、空虚なものだった。


 かつての栄光は遠い過去の思い出となり、彼は孤独の中で生涯を終えるのだった

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