嫉妬と陰謀 ※アルフレッド王子視点

 俺は王子だ。将来の国王になる人間だ。なのに、なぜこんな屈辱を味わわなければならないのだ。


 アデーレのやつ、また貴族のパーティーで人気を集めたらしい。


 くそっ、あいつの方が俺より注目されているなんて。俺の婚約者なのに、俺以上に輝いているなんておかしいじゃないか。俺が参加していないパーティーにも積極的に参加して評判を上げているらしい。


 ダンジョンに行くのを禁止してやり、しばらく大人しくしているかと思ったら別の問題が発生した。イライラする。なぜ俺の邪魔ばかりするのだろうか。


 こうなると分かっていたら、ダンジョンに行くのを禁止するのは間違っていたのかもしれないな。もう少し、別のアプローチで彼女を抑え込む方法を考えるべきだったのかもしれない。


 見た目だけは良いのだから、大人しく俺の言うことだけ聞く従順な女でいてくれたらいいのに。楽な女であれば良かったのに。でも、あいつは頭がよすぎる。その才能を俺のために使えばいいものを、自分勝手に動き回っている。


 くそっ、頭が痛い。こんなに考え込むなんて、全部アデーレのせいだ。あいつがいなければ、こんなに苦労することもないのに。だが、彼女は俺の婚約者だ。どうにかして、うまく利用する方法を考えなければ。


 弟のブレットのやつも、最近調子に乗っている。アデーレと仲良くしているみたいだが、余計なことをするなよ。俺の婚約者に近づくんじゃない。


 みんな、俺のことを馬鹿にしている。分かっているんだ。でも、俺は王子なんだ。いずれ国王になるんだ。そうしたら、俺を馬鹿にしている奴らを見返してやる。絶対に。




 ひとまず、アデーレとの付き合い方と利用方法について考える必要がある。今のままではダメだ。大きく発想を変える必要があるな。


 何かを得るためには、何かを諦める必要がある。俺も少し妥協する必要があるかもしれない。


 婚約相手としてのアデーレは諦めて、エレドナッハ公爵家の令嬢として利用してやるのが得策かもしれないな。


 アデーレの社交界での人気も、どうにか奪い取れないか。彼女を利用して、俺の評判を上げられないか。今まで評判だった彼女の評価を落として、周囲の印象を変える。


 そうだ、それだ。アデーレの評判を落として、その隙に俺の評価を上げる。絶妙なタイミングで仕掛ければ、うまくいくはずだ。


 ダンジョンの件も利用できるな。ダンジョン禁止命令を撤回しよう。そうすれば、またアデーレはダンジョンに行くはず。アデーレがダンジョンに執着しているのは、何か裏があるんじゃないかと噂を流す。貴族の令嬢がダンジョンなんかに執着するなんて普通じゃない。みんなもきっと、そう思う。異常だと。


 ブレットにも、アデーレとの交流を続けさせよう。むしろ、もっと親密になるよう仕向ける。そして、二人の関係を不適切だと噂させる。俺は寛容な態度を示しつつ、実際には二人の評判を落とす。


 そうすれば、アデーレの評判は落ちる。エレドナッハ家との関係について、表面上は維持したまま、実質的には俺の思い通りに動かせそうだな。ついでに、第二王子の評判も落としておく。俺の地位は盤石となるはず。


 ふっ、これこそ真の策略というものだ。アデーレ、お前はもう俺の駒にすぎない。お前の輝きは、全て俺のものになるんだ。


 よし、この計画を実行に移そう。俺こそがこの国を導くにふさわしい人間だということを、みんなに思い知らせてやる。覚悟しろよ、アデーレ。お前の楽しい日々も、もうすぐ終わりだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る