第22話 やりたい放題
散ったダリタキガルは、敵の青い影を溶かしたり、電線から火花を散らしたり、電光掲示板に張り付いたりと、やりたい放題。
「勇旗、あれはそういうタイプではなかったようだ」
「おい! え、じゃあ命令を無視した訳ではないのか? 」
と不安げに尋ねる勇旗。
「いや、無視されたな。 完全に」
「なんで! 」
「そういうタイプじゃないからだ。 あれはなかなかに知性が高い様子だ。 効率のいい行動パターン以外はやりたくないんだろう」
「えぇ…… 」
「まぁ、いいじゃないか。 能力は高い、敵は倒せた。 よくやったぞ勇旗」
「思ってたのと違うが、確かにそう…… だな」
なんにせよ危機は回避できた。 とその事実に安堵する勇旗だったが
「さて、次はヴァーサの救出だ! 頼むぞ勇旗」
「え?! そんな簡単そうに?! 」
「なに、少し敵の邪魔をしてやればヴァーサは勝てるはずだ。 さぁ急げ! やってみろ! 」
急に勢いづいたフィスカは、ビッシっと人差し指で、戦闘中のヴァーサと男を示して決めポーズ。
それに大きく溜息をついた勇旗は
「はいはい…… もう、やってやるよ! 」
今度は向こうに意識を向け、ダリタキガルが散って暴れるイメージをする。
勇旗の支配下にある青いダリタキガルは、なかなかに素早い。 垂直な壁すら簡単に登り、わずか数秒で男の肩に飛び掛かりはじめた。
ヴァーサと戦闘中だった
「これは、意図的な感じですね。 向こうからか」
鷺の右肩に着いた青い物質は、すぐに消えてしまったが、それは彼の体に染み込んだようにも見えた。
ヴァーサもその違和感に気付き
「フィスカか? 」
と、すかさず鷺の隙を狙って攻撃を入れる。
強烈なパンチをもらった鷺は、腕で防いだものの後ろに、少しだけ飛ばされる。
「なに、一瞬肩に付けられた程度では、問題には―― ? 」
突然、鷺の右腕から、ドロドロと何かがこぼれていく。 それは真っ黒なダリタキガル。
姿はヴァーサのものとは違い、完全な液状に近い。
次々と止まらないダリタキガルの流出する腕に戸惑う鷺。
しかしそれは、遠くから見ている
「なんだあれは!? きもっ! 」
「どうやら敵の保有していたダリタキガルが、制御を失っているらしい」
フィスカは腕をくみ、うんうんと満足げにうなずいた。
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