フェチズムみみっく! 学校一の美少女に身体(物理)目当てで言い寄られています……肝臓フェチってどういうことですか。
吉武 止少
第1話 あまり者同士をくっつけても「ペア」にはならねぇ
俺の担任教諭である
ちなみに視線は俺に釘付けになっている。
いや、釘付けというか、釘が打てそうな視線で睨んでるんだけど。
吉見先生はドMな人達にはたまらないタイプの美人なので、こうして客観的に事実を述べるとまるで俺が何かのプレイに巻き込まれているように誤解されてしまいそうなので一応言い訳をしておく。
別に睨まれて喜ぶ性癖はない。
ついでに汚物みたいに見られても嬉しくも何ともない。
できればそういう
「
「……えーと、調教・忠実・クラスの和を乱すな、でしたっけ」
「全然違う。協調・誠実・クラスで一致団結だ」
「だいたい合ってるじゃないですか」
「それで正解になるならテストはだいたい何書いても満点だ阿呆。三年間しかない青春をクラスメイトと
吉見先生はため息を吐くと、頭に手を当てた。
仁王立ちのポーズが崩れて脚がチラリと動く。
うん。スカートタイプのスーツに黒ストッキングって、『女教師』って職業では一番攻撃力の高い装備だ。
特に黒ストッキングが50デニール未満の薄いタイプだとあざといまでの魅力を発揮する。『女性教諭』じゃこうはいかねぇ……。
そんなことを考えながら先生の脚を眺めていると、頭にチョップが叩きこまれた。
衝撃が走り、視界に火花が飛ぶ。
抗議の意味も含めて視線を上に向けると、そこには先程にも増して汚物をみるような視線で俺を睨む先生がいた。
「一応言い訳くらいは聞いてやる。なんで親睦会サボって教室で暇そうにだらけているのか言ってみろ。資金も私が融資してるんだし、いけないことはないだろう」
「いや、俺にもやることはありますよ? 先生が脚を組み替えた時のエロい角度について考えたり
「……つまり阿志賀は変態なのか?」
「違います! 俺は
「十分変態だと思うが、敢えて話を続けてやろう。……じゃあ何か? お前は脚について考えるために親睦会をサボったってことか?」
「……有り体に言えばそうなりますね」
ううむ、コレが誘導尋問か。恐ろしいな。
「……明日からパンツスーツにするか」
「いや別に俺は吉見先生が好きなわけじゃなくて脚が好きなだけだからそこまで意識しなくてもいいと思いますよ。っていうか先生最大のアピールポイントをアピールできないようにしちゃったら駄目じゃないですか。ただでさえ貧にゅ、」
「黙れクソガキ」
喋っている途中なのに手で口を潰された。
しかも女か疑わしくなるくらいの握力を掛けて来やがる。
体罰か畜生!
「明日のホームルームで、女子に長ジャージを着用するように勧告してやっても良いんだぞ?」
「なななななんでそんなことを!?」
「クラス内に危険人物がいるからだよ」
「大丈夫です! クラスメイトの脚は俺が守りますから!」
「お前から守るための方策だよっ!」
バシンと背中を叩かれる。
さっきのチョップと言いこの人体罰多くない?
俺の親がモンスターペアレンツなら教育委員会にクレーム入るところだよ。もう裁判沙汰だよ。
異議有り! みたいな。
いや、異議があったら逆転しちゃうから異議無しで体罰有罪だな。
うち、モンスターペアレンツどころか完全な放任主義だから無理だけど。おそらく殴られたって言ったら「お前何をした!? 学校に迷惑かけたのか!?」って怒られるし。
「それで、阿志賀。このクラスはどうだ?」
どうだって聞かれても、新年度初日だからなぁ……。
「向花原ちゃんの脚が98点で一位ですね。二位は94点で先生ですよおめでとうございます。三位は久保田と
「誰が脚の点数つけろって言った! 友達だよと・も・だ・ち!」
先生は再び俺にチョップをかます。
と、それを白刃取りの要領で受け止めたら空いた逆の手からビンタが来た。
首がすっ飛んだんじゃないかってくらいの衝撃に星が飛ぶ。痛ぇ。
「友達になれそうな奴は居るのか?」
「今日は始業式とホームルームだけでしたし分かりませんね」
「それをリサーチするための親睦会だろうが、このバカ」
ヒリヒリする頬をさすっていると、先生が貧にゅ、もとい防御力低めな胸部装甲の辺りから紙を取り出した。
「友達が出来ないのは可哀想だからめんど……じゃない、お前と仲良くなれそうな奴を教えてやろう」
「今面倒って言いましたよね? アレですか? もしかして友達いない同士をくっつければ皆解決、的な奴ですか? 体育で余り者同士が組むみたいな」
「忘れろ」
先生は懐から出した紙を机に広げる。
それは、この学年の生徒が一覧になった名簿だった。
「まずは
「あ、男は脚見ても楽しくないんでパスで」
「文句言うな!」
三度目のチョップ。
ビンタの方が痛かったから我慢して受ける。
俺、泣かないっ!
「鴨下は見た目こそイケメンで割りとモテるタイプの男だ」
「……それのどこが俺と仲良くなれそうなんですか?」
「重度の熟女好きで、50以下はガキにしか見えないと公言している。そのせいで孤立しがちだ」
「俺も50以下のガキなんで孤立させとけば良いんじゃないですかね。確か倫理の
「アプローチ掛けられて困ってるって言ってたな」
「……もう朽田先生に任せましょうよ。生徒じゃ対応できないです」
「次、
「サッカー部の助っ人でハットトリック決めた奴ですよね。イケメンでスポーツ万能って人気者の要素モリモリじゃないっすか」
「だが妹音は重度のシスコンでな」
「あれ? 妹音って一人っ子じゃなかったですか?」
「一人っ子だ。『血が繋がった妹なんて
「えっ、妹いないのにどうやってシスコンになるんです?」
「ハゲだって髪にコンプレックス
何かの哲学かな?
「とりあえずご両親に離婚してもらって妹がいる家庭と再婚してもらえば良いんじゃないですかね。俺が干渉できる隙はありません」
「チッ……じゃあ
先生は男子の欄の一番下を指差した。
「就学児童をババア扱いする重度のロリコンだ。あと『お母ちゃんと一緒』を録画しているらしい」
「……あの、先生」
俺の言葉に、吉見先生が顔を上げた。
「俺にどうにかできるレベルを大きく超えてるんですけど」
「どいつもこいつも我を貫いた結果だ。協調が如何に大切か分かったか?」
「……はい」
吉見先生はニヤリと笑うと頷いた。
「うむ、何より。それじゃあ協調性を高めるためにも友達作る必要性があるよな?」
ちょっと面倒だが、まぁここではいと言わなければ俺は解放されず、延々とクラスの特殊性癖者を紹介され続けるのだろう。
もうすでにお腹いっぱいである。美しい向花原ちゃんの脚に関する思い出が汚ぇ野郎どもの特殊性癖で穢された気分である。
「そうですね。頑張ってみたいと思います」
「よし、じゃあ本題に入ろう」
あれ、解放される流れじゃなかったの?
っていうかまだ本題じゃなかったんか。
「……今までのは何だったんですか?」
「様子見のジャブだよ。高難易のものから低難易のものへと移るのが交渉の基本だぞ」
「交渉だったんですね、これ。っていうか難易度下げても元のレベルがアレだからすっごい不安なんですけど」
「まぁ聞けよ」
吉見先生はそこでニヤリと笑うと、クラス名簿の右側を指さした。
「出席番号14番、
「脚の点数はクラス三位タイの91点ですね。白くて細いながらも筋肉がきちっとついた健康的でしなやかな脚は一見の価値があります。特にグッと力を入れた時に動くヒラメ筋とぷりっとした太ももがチャームポイントですね」
「……お前本当に気持ち悪いな」
「あ、ちなみに同じく三位の久保田は超親しみやすいのに対して内蔵はどっちかっていうと人を寄せ付けない雰囲気なんでマイナスですね。まぁ鑑賞する分には周囲に人が居ないという点ではプラスですけど。おお、新しい発見だ。どっちも美人ですけど周囲に人がいない美人の方が脚鑑賞には最適なんですね! さすが先生!」
「そんなこと教えた覚えはないんだけどねぇ……まぁ、折角やる気になったところだからそういうことにしておいてやる。阿志賀、明日の委員会決めで内蔵と同じ委員会に立候補しろ」
「えーと、さっきの奴らみたいに何フェチだとか、特殊性癖だとかに関しては説明ないんですか?」
「……阿志賀と同じ、人体の一部に並々ならぬ執着を持った感じの性癖だな」
「腕とか……は割りとメジャーですし、うなじもですよね。ってことは耳とか背中とかですか」
「あー、うん。まぁ良いから、とにかく内蔵と同じ委員会に入れ。私の方でも手は回しておくから」
歯にものが挟まった物言いではあるけれども、クラス内では向花原ちゃんに次ぐ美脚の持ち主である内蔵と仲良くなるのは悪いことではない。
耳とか腕よりもマニアックな感じになると筋肉フェチか?
太ももからくるぶしに掛けての筋肉なら俺も語れるから良い同志になりそうである。まぁ俺は健全な脚フェチなので行き過ぎていたら引くが。
仲良くなればタイツのデニール数とかリクエストを聞いてもらえるかもしれないし、運が良ければ
いや、別に同じ委員会で活動すれば許可なんかなくても見放題か。そう考えれば悪くない……のか……?
そんな打算込みで、吉見先生の指示を受け入れることにしたのだが。
俺はさっそく翌日から後悔するはめになることを、まだ知らない。
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お願い
次! とりあえず次話でヒロイン出るのでそこまでお願いします!!!
本作はカクヨムコンテスト9参加作です。
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よろしくお願いします!
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