第13話 襲撃者の正体
「———ユイト様……いつの間にドミネイトアイ家の魔眼を模倣したのですか?」
暗殺者のような男が瞳を虚ろにさせて動かなくなると、レイブンが面食らった様に訊いてきた。
確かに戦闘中は【暴竜眼】を模倣したとしか言っていないので、レイブンが驚くのも無理はない。
「交流試合の時にルイスとか言う奴から模倣した。俺の魔眼は色が変化しないから発動自体分からんはずだ」
俺的に色が変化しないのは非常に残念だが。
まぁこの魔眼のお陰でオッドアイになり放題なので文句は言うまい。
「さて……おい、貴様。名は何と言う?」
「……アイゼン」
男———アイゼンは何も映さぬ虚ろな目のまま俺の質問に答えた。
こう言った輩は絶対に自分の正体がバレるような質問には答えないので、しっかり【支配眼】が効いている証拠だ。
———【支配眼】。
俺が模倣した魔眼の1つであり、対象(生き物に限る)を自分が思うままに操れる強力な魔眼だ。
今のように何でも質問に答えて貰えるし、操り人形の如く意のままに操ることも可能。
このように非常に厨ニ心をくすぐる代物だが…自分よりも精神力の強い相手や、同じ系統である精神操作系の魔眼を所持している者には殆ど効果はないと言うデメリットがある。
更に俺が模倣したことにより、対象が1つまでに限定されてしまった。
まぁそれでも十分有能な魔眼ではあるが。
「次の質問だ———貴様は何故此処に来た?」
「……ユイト・デビルアイを殺害……そして死体を回収する……」
俺はそれを聞いて顔が険しくなるのを自覚した。
傍らでは、傍観していたレイブンが目を見開いて息を呑んでいる。
「ユイト様、このことは当主様に———」
「———待て、レイブン。俺の質問は終わっていない」
俺はアイゼンの顔面を掴んで問いかけた。
「次の質問だ。俺の死体を回収して何をするつもりだった?」
「……分からない……ただ殺して死体を回収しろと言われただけ……」
チッ……やはり知らないか。
見るからに捨て駒の男にそんな計画の重要なことを話すほど、相手も馬鹿じゃないらしい。
馬鹿であった方が有り難かったのだが……と俺は内心舌打ちをしながら尋ねる。
「最後の質問だ———貴様に依頼した者は誰だ?」
———刹那、場の空気が一変する。
部屋の空気がズンと重くなり、【支配眼】で支配しているはずのアイゼンが突如小刻みに震え出し、うめき声を上げて苦しみだした。
その姿は、ゲームで主人公が襲撃を受けた時に聞き出そうとして……。
———クソッ……マズい!!
「レイブン、今すぐに部屋を出ろ!!」
「な、何事なのですか!?」
珍しく狼狽えながらも戦闘態勢に入っていたレイブンに叫んだ。
「———コイツはこれから爆発する! 俺は【支配眼】で支配を取り戻せるか試すからレイブンは父上達を呼べ!」
「……っ、しょ、承知いたしました!」
レイブンは即座に身を翻すと物凄い速度で出ていった。
そんなレイブンを見送った俺は……【支配眼】と同時に【全能眼】も発動させる。
「チッ……意味不明な魔法が仕掛けられている様だな……」
【全能眼】で解析してみたが、爆発の魔法自体は一般的な契約魔法みたいなものだった。
しかしスマホで言う顔認証や指紋認証のような登録された者にしか改変できないようにされていた。
俺は思わず舌打ちをしながらも、【全能眼】を解いて【暴竜眼】を発動。
全身から溢れ出る赤黒い魔力でアイゼンを覆うと同時に———アイゼンの支配を解除。
刹那の内に闇を眩く照らす光が発生し———魔力で覆って尚、俺の部屋を吹き飛ばすほどの大爆発が巻き起こった。
「ぐっ……」
俺は【幻影眼】と【現世眼】で自身の体が丸々隠れる程の巨大な盾を創造して身を守ったのだが……爆風によって危うく吹き飛ばされそうになる。
しかし何とかその場に盾を突き刺して踏ん張って耐え……1分程で爆風が止み、辺りが静かになった。
「クソッ……なんて父上に言えばいいんだよ……」
俺は眼の前の惨状を目の当たりにして、思わず文句を垂れながら盾をその場に投げ捨てて大の字に寝転がる。
———俺の部屋は屋根も壁もベッドも何もかもが吹き飛び、吹き飛ばなかったものは倒壊して見るも無惨な状態へと変貌していた。
そんな無惨な部屋の中で、ドタドタと廊下を駆ける音を聞きながら大きくため息を吐いた。
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