第7話 無双
「———えー……続きましてはユイト・デビルアイVSバードン・バトルアイ、アーバン・バトルアイ、エドワード・ドラゴンアイ、ルイス・ドミネイトアイです。ユイト・デビルアイ以外は武舞台に上がってください」
審判の合図と共に、武舞台に4人の分家の子息達が1人を除いて少し緊張した趣きやって来た。
どうやらこの4人以外の奴らは皆棄権したようだ。
因みにバードンとアーバンが俺と俺の家族を嘗め腐っていた奴らである。
残りの2人は……片方は本当に分からない。
ルイスとか言う奴はあの2人の腰巾着なので分かるが、エドワードとかいう少年には悪いがちょっと見覚えがない。
エドワードは他の3人とは違い、巨大な大剣を持ち、貴族とは思えない格好で俺への敵意が一切感じられない。
寧ろ3人にドン引きしている様に見える。
俺がエドワードとか言う少年に視線を固定させていると……俺の目の前にバードンとアーバンがやって来てはガンを飛ばしてくる。
2人とも俺より年上なのか身長が高い。
「おい、貴様……たかがルイを倒したからと言って調子に乗るなよ? アイツは所詮俺達の中で最弱だからな!」
「お前なんか俺とバードン兄さんでボコボコにしてやるよ!」
2人がニヤニヤと下衆な笑い声を上げる。
……こんなにも露骨に煽れるのも、一種の才能なのかもしれない。
父上と母上、更には1番ヤバい姉上がいる前でこれほどまでに言えるのだから。
「———クックックッ……弱い犬ほど良く吠えると言うが……正にこの事だな」
「「なっ……!?」」
俺の言葉に驚いた2人だったが、直ぐに顔を真っ赤にして手にある武器を振り上げた。
「審判、始めるぞ」
「は、はい———試合開始!!」
俺は2人が止まらないと踏んで、即座に審判に合図を出させると———審判の合図より少し早くバードンの剣が振り下ろされた。
「死ねぇえええええええ———ッッ!!」
「その程度で死ぬわけ無いだろう」
俺は掌に魔力を込めて剣を掴む。
しかし剣の刃は俺の手を斬るどころか皮膚一枚さえも斬れなかった。
「ば、馬鹿な……!?」
「この程度か?」
俺は剣と一緒にバードンを持ち上げてアーバンに投げ飛ばす。
「う、うわぁあああああああ!?」
「バードン兄さん!? ———【
「ほう……」
突如瞳を青く輝かせたアーバンが、まるで予めアーバンが何処に飛んでくるのか分かっているかの様に動き、ダメージを最小限にして受け止めた。
その動きに思わず感嘆の声が漏れる。
「バードンの動きを予測したのか? その瞳は結構使えそうだ」
「あ、当たり前だろ!! この瞳は戦闘において【全能眼】をも上回る最強の魔眼なんだぞ!!」
確かに……予測戦闘ならば【全能眼】に迫るほどの力を引き出せるかもしれない。
だが———少々熟練度に差があるな。
俺は小さく呟く。
「———【
俺の瞳が真紅に燃える。
同時に、世界の動く物全てに何重もの残像の様なモノが現れた。
「さて———始めるか」
俺は脚に魔力を込めて踏み込む。
魔力によって強化された脚力は、余裕で武舞台の地面を凹ませる。
弾丸の如く迫る俺に、アーバンが驚いた様に目を見開き剣を急いで振おうとする姿が視えた。
恐らく相手にも俺の動きがある程度見えているだろう。
残像の様なモノは、相手の視線、筋肉の動き、呼吸など様々な観点から割り出したあらゆる動きの予測である。
そのため何重にも見えるのだ。
しかし残像は時間が迫るにつれてどんどん減っていき、最後には1つになる。
それが如何に早い段階で観測できるか、何処まで先の動きが予測出来るかという、2つの差が……熟練度に依存するわけだ。
現在の俺の模倣した【全能眼】では、その動作の0.7秒前が限界である。
まあ———相手は恐らく0.3秒程度だと思うが。
「はぁあああああ———ッッ!!」
「まだまだ未熟だな」
アーバンが絶妙なタイミングで横薙ぎを繰り出してくる。
しかし俺はアーバンの剣を軽々避けて懐に侵入すると———拳を鳩尾に入れた。
「ガハッ———!?」
「1人目」
俺は吹き飛ぶアーバンを横目に、そのままバードンへと接近する。
しかし先程は無様だったが、流石兄と言うわけか俺の拳を避けた。
「ハハハッ!! 馬鹿が!! 死ねぇええええええええ———ッッ!!」
そしてしたり顔で俺の向かう先に蹴りを入れてくるが———。
「———全て視えているぞ」
俺は唐突に止まり蹴りを空振りさせると、驚きで目を見開くバードンの横腹に蹴りを打ち込んで、もはや動きについて来れていないルイスへと吹き飛ばした。
「ゴハッ!?」
「え、あ———ぐぁああああああああ!?!?」
2人は、鳩尾を押さえながら血の泡を吹いて気絶したアーバンの下へと吹き飛ばされ、そのままなす術なく気絶した模様。
俺はそんな歯応えのない3人から視線を外し……先程から一歩も動かず俺達の戦いを見ていたエドワードを見据えた。
「残りはお前だけだ、エドワード」
「そうみたいだなぁ……まあアイツら邪魔だったし丁度良いんだけど」
エドワードは3人のことを何とも思っていない様に緩く言うと———突如大剣を地面に突き刺して獰猛に嗤った。
「オレの力に耐えられないからな———【暴竜眼】ッッ!!」
エドワードの瞳が金色に輝くと同時に身体から大量の魔力が溢れ出した。
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夜の10時にもう1話上げます。
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