第8話 暴竜眼
「ぐ、ぐぉぉぉぉぉ……ガァアアアアアアアアアアア———ッッ!!」
雄叫びを上げるエドワードの身体を魔力の奔流が包み込む。
その暴力的な魔力に、観客達は一部を除いて阿鼻叫喚の事態に陥った。
「キャアアアアアア!?」
「に、逃げろぉおおおおお! あの魔力に触れるな!」
「何故当主様はドラゴアイ家の戦闘を許可したんだ!?」
俺はそんな大変な事態の中で……。
———ず、狡い……ッ!!
物凄く嫉妬していた。
いや、だってあんなに格好いい演出あってドラゴンの力が使えるとか狡いだろ!
竜の力は厨二病の夢だろ!?
「アレ……絶対欲しい———【模倣眼:模倣開始】」
俺は模倣眼の力のもう1つである———《魔眼模倣》を発動。
瞳の色は変わらないが……エドワードの魔眼の力が徐々に頭の中に知識として吸収されていく。
———【暴竜眼】。
世界に7つある【竜眼】の内の1つで、ゲームでは最後まで名前しか出ることの無かった魔眼。
こと、単純に戦闘においては【全能眼】よりも有能とされている。
500年前———とある貴族の女が、当時世界で最も恐れられ、特級災厄モンスターと謳われて世界中から討伐隊が派遣されるほどに有名だった『暴竜バハムート』と恋仲になり、その息子が力を受け継いだ……と言うストーリーがあるらしい。
結局ゲームでは何者か明かされなかったわけだが……まさか魔眼名家の分家に居たとは流石に予想外だった。
順調に魔眼を模倣していたその時———。
「くっ……!?」
突如俺の瞳に激痛が走る。
それと同時に瞳から生暖かい何かが流れるのを感じた。
———血だ。
どうやら【模倣眼】で魔眼の中でも最上級の強さを誇る【暴竜眼】を
【全能眼】の時に何故激痛が走らなかったのかは不明だが。
俺が血を瞳から流していると……エドワードを包み込んでいた魔力の奔流が突如消え失せる。
そして現れたのは———。
「ふぅ……久し振りに使ったな」
———顔以外を竜鱗で覆われ、背中に翼、頭に2本の湾曲した角、尻に尻尾が生えた半竜人姿となったエドワードであった。
…………ヤバい……魔眼が使えん……。
これが模倣眼のデメリットだ。
一度模倣を始めると終わるまで他の模倣した魔眼を使用することが出来なくなるのだ。
そのため現在の俺は全ての魔眼が使用不可で物凄く弱体化している。
さて……どうしようか。
まさかこれ程時間が掛かるとは……今まで長くて十数秒だったのに……。
俺は瞳を流れる血の涙を拭き、内心の焦りを隠す様に笑みを浮かべる。
「クックックッ……やっと骨のある奴が現れた様だな……楽しくなりそうだ」
「速攻で終わらせてやるよ」
エドワードは大剣を一瞬で地面から抜くと———刹那の内に俺へと接敵していた。
竜の圧倒的な力によって振るわれる大剣。
俺はそんな一撃必殺レベルの力の込められた大剣を横から魔力を纏わせた拳で殴り、軌道をずらして飛び退く。
しかし———。
「【暴竜の息吹】———ガァアアアアアアアアアアア!!」
エドワードが手を俺に翳した途端に掌からとんでも無い赤黒い魔力の奔流が放たれた。
放たれた極大の魔力の奔流は武舞台を抉り取りながら俺へと迫る。
これは流石に……受け止めるのは無理だな。
俺は受け止めるのを諦め、自分が招いたピンチなので多少の損失に目を瞑ることにした。
「———【模倣眼:模倣継続】【
———片目が真紅に染まり、両目から血の涙が流れる。
俗に言う並行利用と呼ばれる手法であり、模倣時間は倍になるものの、他の魔眼を限定的に使えるだ。
まあその代わり瞳と脳への負担はエゲツなくて激痛に見舞われる。
しかし———俺は格好よく勝ちたいのだ。
痩せ我慢してでも格好よく勝つ。
余裕を崩さず相手を完封したい。
俺は【全能眼】で【暴竜の息吹】を解析。
痛む瞳を今だけは無視してひたすらに集中する。
全ての魔法———魔力による攻撃には、必ず脆い穴がある。
勿論相手の練度が高ければ高い程その穴を見つけることは限りなく難しくなってくるが……この世に完璧なモノは存在しない。
そこを突けば、どんな強い魔法や攻撃であっても必ず無効化出来るのだ。
まるで永遠にも思える一瞬の中———エドワードの熟練度が低いお陰で何とか見つけることが出来た。
同時に【暴竜眼】の模倣が完了。
両目での魔眼使用が可能になった。
「此処からは———俺の
俺は魔力で刃を作ると———【暴竜の息吹】へと飛び込む。
そして魔力の刃を【全能眼】で解析した穴へと突き刺した。
すると———まるで全てが元々何も無かったかの様にあっさり消え去る。
「ば、バカな……」
「我が最強の魔眼を嘗めるなよ———トカゲモドキ野郎」
俺は驚くエドワードへ一瞬にして接近して魔力の刃で袈裟斬りを放った。
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