第10話 交流パーティー

 ごめん、今回短い。

 次回は多分長くなる。

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「———レイブン……本当にこの服で出席するのか?」


 俺はタキシードの様な黒色を基調としたパリッとした服に身を包み、非常に動き難く首元にも違和感を感じながら……眉を顰めて言った。

 そんな不服そうな俺に、レイブンは共感する様に頷く。


「よく分かりますよ、ユイト様。私も当初は同じ様にこの服が苦手でしたから」


 そう言って懐かしげな表情で自身の燕尾服に視線を移すレイブン。

 そんなレイブンの姿に、俺は意外過ぎて少し目を見開いて驚く。


「……レイブンにも、そんな時期があったんだな」

「勿論です。私だって人間ですから、動き難い服を着ることに抵抗はありましたが……あの時の私はまだまだ若かったのです」

「……そうか……」

「はい。と言うことで……今後もどのみち何度も着るのですから慣れてください」


 俺は、着替えなどは絶対にさせないぞ、とのレイブンの圧に負けて諦めてそのままの服で出席することにした。










「あ、いたいた……っ!?」

「姉上……?」


 俺が会場の扉の前にレイブンと居ると、姉上がメイドを連れてやって来たのだが……何故か俺を見て目を『カッ!』と見開いて固まってしまった。

 俺は訝しげにジト目で姉上を見ていると……突如姉上が俺の下へハイヒールの筈なのにダッシュで駆け寄ってくる。


 そして———。


「か、かっこいい〜〜〜!! ユイトっ、本当にカッコいいよ!! もっと好きになり———むぐっ!?」

「アカネ様、抱きつくのは禁止です。折角お美しく着飾られたのに衣装や化粧が乱れてしまいます」

「え〜〜なんでよ〜〜!! こんなにかっこいいユイトが目の前に居るのに! 触らないなんて生き殺しだよ!!」

「———アカネ様……?」

「いや」

「御承知のはずですよね……?」

「…………分かってるよ」


 姉上はいじけたように頬を膨らませてしゅんと肩を落とす。

 その姿も目を奪われるほど美しく見えるのに、我が姉上が結婚出来ないのも甚だ遺憾なことだ。

 まあ俺ならば嫁には取らないが。


「ユイト、お姉ちゃんの格好どう?」


 姉上が普段とは別人の様に儚い笑みを浮かべると、俺の前でドレスの裾を持って、令嬢仕様の挨拶をする。 

 姉上は真紅のドレスを纏っており、珍しく髪も結ってあった。


「似合ってると思うぞ」

「ほんと!? だってメリア! 私似合ってるって!!」

「はいはい、良かったですね。もうそろそろ呼ばれますよ」


 メイド長のメリアがそう言うと同時に———。



「———ユイト・デビルアイ様、アカネ・デビルアイ様の御入場です」

 


 扉が開き、ベストタイミングで名前を呼ばれた。

 その瞬間に一気に皆の視線が俺達に向けられるが……正直殆ど気にならなかった。

 そんなことより……。


「……こ、これが貴族のパーティーというものなのか……」

 

 俺は目の前に広がる豪華絢爛をそっくりそのまま形にした様なパーティーを目の当たりにして呆然と溢した。


 まさに漫画やアニメの様に、幾つもの丸型や長方形型の机に白いランチョンマットみたいな布を被せてあり、その上に様々な料理が並んでいる。

 更にそんな机を囲む様に至る場所に分家の者達がワイングラス片手に談笑しており、我が家の使用人が忙しなく動き回っていた。


「凄いでしょ? 私も初めはびっくりしたよ」

「……ああ、確かに凄いな」


 俺は半ば呆然と頷きながら、姉上と共に階段を降りた。


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