第19話 撃破
「———さて……やっと両手が自由になったな」
少し時間は戻って、マリアを投げ飛ばした直後。
俺は、本気でフェニックスを倒すべく……魔法の展開を開始した。
「切り裂き、轟け———【風刃】【雷光】」
右と左別々に魔法陣が展開され、それぞれ風の刃と雷の光線が射出。
俺の魔法は降ってくる巨大な炎の玉を撃ち落とし、切り裂いてはフェニックスに迫る。
「キュルアアアアアアアアア!!」
「囀るな鬱陶しい———【暴竜爪】」
フェニックスが俺の魔法に気を取られている隙に上空へ飛翔。
爆煙に紛れて一気に接近すると、魔力が形作った竜の鉤爪でフェニックスに袈裟斬りを繰り出す。
竜の鉤爪はフェニックスに直撃すると……炎の翼を引き裂いた。
「キュアアアアアアアア———ッッ!?」
フェニックスが悲痛の叫びを上げ、今回の戦闘で初めて俺を脅威と認識した様である。
原作では物理攻撃に絶対的な耐性を持っているフェニックスには物理攻撃は効かない。
なのでゲームでは魔法で倒していたが……現実となった今、魔力を媒介とした物理攻撃でも十分にダメージを与えられる。
フェニックスは、即座に翼を再生させると、先程までの無差別的な攻撃とは一変して執拗に俺を狙い始めた。
幾つもの炎の玉が高速で俺を燃やし尽くさんと接近してくる。
「我が身を守れ———【多重結界】」
俺の周りに魔法陣が現れたかと思うと、何重もの透明な結界が展開されて炎の玉を受け止める。
ただ……高位の魔法ではないため、一瞬で割れていく。
「チッ……まぁいい」
俺は結界が全て破壊されると同時に【暴竜の息吹】を放つ。
赤黒い極光波が無防備なフェニックスへと迫る———が、当たることはなく躱されてしまった。
逆にフェニックスに気を取られていた俺の下に幾つもの炎の羽根が飛来。
俺は【全能眼】で軌道を予測して、全てガントレットで消し飛ばす。
「……決定打に欠けるな……」
俺は苦々しく呟いた。
このままでは持久戦となり、俺の敗北が確定するのが目に見えていたからだ。
流石にフェニックスに勝てるほどの魔力はない。
そんな時———。
「———【剣神術:閃撃】ッッ!!」
突如として森から一筋の光が現れ———フェニックスの周りに停滞していた何十もの炎の羽根が閃光の様な斬撃によって切り刻まれる。
同時に俺は口角を上げていた。
「———よくやった、マリア」
「ユーさん、加勢しにきました!!」
俺の隣に、白銀の瞳を爛々と輝かせ、先程とは全く別人の様なオーラを纏うマリアの姿があった。
「———開眼した様だな」
「はいっ! 全部ユーさんのお陰です!」
俺の言葉に、嬉しそうに笑うマリア。
自分がやっと落ちこぼれでなくなったことを喜んでいるのだろう。
普通なら油断するな的な事を言うが……今まで相当悩んでいたようなのでわざわざ言うまい。
「ユーさん……これで、私も一緒に戦えますか……?」
これ程の力を手に入れたというのに、不安そうに尋ねるマリア。
実に謙虚なことだ。
「クックックッ……愚問だな。頼りにしているぞ、マリア」
「……っ、はいっ!!」
さて———マリアを褒めるのはこれくらいにして、決着と行こう。
「マリア、今回はお前が鍵だ。トドメはお前が討て」
「えっ……?」
驚いた様に目を見開くマリア。
「何を驚いている? 現段階の俺の攻撃は奴に通用せん。ならマリア、お前しかいないだろ」
「そ、そうですけど……私に出来ますかね……?」
神の名を冠する魔眼を持つ者が何を言っているのやら。
そんなの———。
「———出来るに決まっているだろう。お膳立ては俺がしてやる。だから、お前がフェニックスの心臓に剣を突き立てろ」
俺はそれだけ言うと、警戒して動かないフェニックス目掛けて無数の魔法を展開。
何十もの幾何学的な魔法陣が俺を中心に輝き、何十もの様々な魔法が放たれる。
更に俺は、フェニックスが魔法の対処に手一杯となっている間に新たな魔法を発動。
俺が使える唯一の最上位魔法にして……厨二病ならば絶対に手に入れたい魔法。
「我が闇の炎に平伏せよ———【黒焔砲】」
俺の眼前に、1つの大きな魔法陣の中に5角形の角ごとに小さな魔法陣が埋め込まれた大きさ10メートルを軽く超える超巨大な魔法陣が展開された。
そこから漆黒の焔が出現し、全てを呑み込まんとフェニックスに迫る。
漆黒の焔は、フェニックスの炎を呑み込んで更に膨張しながらフェニックスへと直撃した。
俺はその瞬間に叫ぶ。
「今だ———マリアッッ!!」
俺の【黒焔砲】によって全体的に勢いのなくなったフェニックスに向けて、マリアが飛び込み———。
「【剣神術:神閃斬】」
フェニックスの命である魔力コアも一緒に真っ二つに斬り裂いた。
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