不細工で不出来な主人公が大活躍……と言っても、彼「床助」の場合、見た目も職業(陰間)もとても親しみがもてるものではありませんでした。しかし、床助はまさにそういった地の底を這いずり回り、何度も立ち上がり(深い意味はありません)、愛する人への想いを貫いた男のなかの男だと思わされました。現代と過去を心のなかでサッと行き来できるスムーズな展開、床助をめぐる盛りだくさんの冒険……最後まで十二分に楽しめる小説だったと私は思います。とにかく床助という稀代のキャラクターの図太く静かな迫力に圧倒されること間違いなし、です。
靴下でもタイツでも、福助株式会社の製品を着用したことのある方は多いでしょう。福助人形は、とんと見かけなくなりましたが。その福助に異形の弟が? しかも、とんだ悪たれの?こいつ、困った奴だなと読み進めるうちに、そして艶話にニヤニヤしているうちに、語り手である弟に感情移入すること間違いなし!
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