第14話 レオンはロリコン?

私はレオンたちがいる裏通りの居酒屋みたいな店の前に立っていた。

もしかしたら、全員眠っているかもと思っていたが、店の中の照明はしっかりとついており、眠っている心配はなさそうだ。


そして、私はノックを5回した。

すると中から、レオンの声が聞こえた。


「だれだ?」

「私だよ」

「入っていいぞ」


私はドアをいつの間にか寝てしまっていたフランを抱えながらもなんとか開ける。

ドアを開けると、店の奥の席にはレオンが座っており、何やら驚いたような顔をしていた。


「おい、その子はだれだ?」

「私の初めての仲間」

「死んでないだろうな」

「私をなんだと思っているの?」

私が死体を仲間と言って持ってきたと思ったってこと?

本当に心外だ。


「それならいい、奥の部屋にベッドがあるからそこに寝かしといてやれ」

「うん、わかった」


そういって、私は奥の部屋に向かった。

奥の部屋にはベットが二つ並んでおり、もう一つの方には誰か寝ているようだった。

私はその人を起こさないように静かにフランをベットの上に置いたが、どちらも起きる様子はない。

私は安心してその部屋を出る前にもう一つのベッドに寝ているのが誰なのか気になり、顔を覗き込むとそこでかわいい寝息を立てながら寝ていたのはカスミちゃんだった。

カスミちゃんもかわいいなぁと思いながら、部屋を出てレオンの正面のソファに腰をかけた。


「お前には聞きたいことがいくつかある」

「いいよ」

すると、レオンは書類に書き込んでいた手を止めてゆっくりと顔をあげ、そう話を切り出した。


「まず、あの子は誰だ?」

「だから、私の初めての仲間って?」

「そういう意味じゃない。どこで拾ったんだと聞いているんだ」

「あぁ、なるほど。フランは伯爵家の子供の1人だよ」


レオンはわかりやすく驚いた顔をした。

「フランってあの子のことが?」

「そう」

「マジかよ……」

と思うと、今度は天を仰いで、徐にため息を吐いた。


「ほんと」

「でも、それにしては髪の色が他の伯爵家の人と色が違ったような気がするが……」 

「理由はわかってないらしいけど、それが原因で監禁されてたんだよ」

「そうなのか?それなら多分三番目の子供だな。俺は病気でずっと寝ていると聞かされていたんだが、そういうことだったのか」


なるほど。

監禁しているとか、子供が1人だけ違う髪色の子供だと色々言われる可能性があるから病気ってことにしていたのか。


レオンはなるほどといった感じで何度かうなづくと私に対し、「おい」と呼ぶと、

「それであの子以外はちゃんと暗殺したのか?」

と聞いてきた。


「うん、殺したよ」

「なら、いい」

そういってレオンはまた書類に視線を落とした。

私はその様子を見て

「私も一つ質問があるんだけどいい?」

といった。

「いいぞ?」

レオンはどうしたのかと怪訝な表情を浮かべていたが

「レオンってロリコンなの?」

と聞くと、レオンは飲んでいた飲み物を盛大に吹き出して、咳き込んだ。

きたな。


「どうしてそうなったんだよ」

近くにあったタオルでふき出した飲み物を拭きながら、呆れたように聞いてきた。


「いや、だって寝室にベットが二つあるってことは一緒に寝たり、やったりしたことがあるってことじゃないの?」

「そんなわけがないだろ!」

レオンは机をバン!と叩き体を乗り出してきた。


「大体、俺は子供に手を出すような変態じゃねぇよ」

「じゃあ、なんで寝室にベットが二つもあったの?」

「それはここは暗殺組織だからいつ襲撃されてもおかしくないんだよ。だから、必ずカスミか俺のどちらかが起きるようにしているんだ。だから、別に寝室が一緒でも寝るタイミングが被らないんだよ。一応、お互いに自分部屋はあるがそこにベットを置いていたらただでさえ狭いのに邪魔なんだよ」

「ふぅ〜ん」

「だけど、流石にちゃんとベットは別々のものを使っているからいいだろ!」

「なんか言い訳をする人みたいで面白かった」

その言い訳をする姿は焦っている様子でかなり早口になっていたことからそれは人間のことに見ていた恋愛ドラマの浮気の言い訳姿を彷彿とさせられた。


「俺は疲れた」

「でも、私の仲間には手を出さないようにね」

「出すわけないだろ!」

「じゃあ、私も寝てくるね!」

私はそう否定するレオンを無視してそういった。

「はぁ、おやすみ」

「おやすみなさい!」

一応、念を押した私はため息をついているレオンを横目に寝室へと向かった。


ベットは二つあり、一つはカスミちゃんが眠っていて、もう一つはフランが眠っている。

私は迷わずフランが眠っている布団に潜り、フランを抱き枕にして眠るのだった。

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