第24話
「正直、戦ってくれる方がありがたいけど、本当に大丈夫?」
「はい!お役に立てるかは分かりませんが、精一杯頑張ってみます!」
フランは肩に力が入っているようだが、その言葉から気合が十分だということが伝わってくる。
正直なことを言うと、フランがゴブリンロードの標的にならないかとか心配なことはたくさんあるけど、そこら辺はわたしが誘導すればいいだろう。
「それならゴブリンロードが呼び出したゴブリン達を倒してくれるとありがたいかな?」
「はい!」
「あ、でも自分の周りにいるゴブリンを第一に考えてね。わたしの近くにいるゴブリンは余裕ができたらでいいから。あと魔力がなくなりそうになったら、大声で教えてね」
「分かりました」
そう言って、わたしはすでにかなり接近していたゴブリン達のうち数匹をまとめて切り裂いて、ゴブリンロードの方へ走って行った。
後ろからは【ストーン】や【ファイア】と言う魔法を唱える声が聞こえている。
どうやら、フランは大丈夫そうだ。
わたしはゴブリンロードに集中することにした。
ゴブリンロードはわたしが近づくや否やすぐさま剣を振り下ろしてきた。
わたしはそれを避け、どうすればゴブリンロードに致命的な一撃を与えられるか考えながら、首や心臓ではなく攻撃が通りやすかった下半身を重点的に狙うことにした。
ゴブリンロードは攻撃力、防御力は強いが、体が大きいからか、知能があまりないからかはわからないがスピードは遅く、さらに動きも単調だ。
だから、負けることがないだろうが、決定打もないということだ。
グルマおじさんの剣を使おうかとも考えたが、【アイテムボックス】入れるために持った時、わたしの力が封印されているからだろう、かなり重たく感じていた。
その重い剣を降りわますとなると逆にわたしが振り回される可能性が強いし、練習してからじゃないと危ないだろう。
わたしはゴブリンロードの攻撃を避けながらも順調に体に傷を増やしていく。
しかし、しばらく攻撃を続けていたが、突破口が見つからずわたしの体力が削られて行っているだけだった。
そして、ついにわたしは
「しまった!」
足を滑らせてしまった。
ゴブリンロードがその隙を見逃すはずもなく、その巨大な腕がわたしに振り下ろされた時だった。
「【ストーン】」
そう聞こえると、尖った岩が飛んできてゴブリンロードの腕に突き刺さった。
その痛みからかわたしにむけていた腕を一瞬引っ込め、その隙にわたしは距離を取るのとができた。
わたしは後ろを向くと
後ろから
「ゴブリンは倒し終わりました!」
と言う声と手を振っているフランがいた。
見渡してみると確かにゴブリンはもうすでにいなくなっていた。
「ありがとう!助かった!次はゴブリンロードを狙って」
「はい!」
「あと、何発くらい打てそう?あと4発です」
「じゃあ、まず1発打って」
「分かりました」
わたしは腕に刺さった岩を見て、ある一つの方法が浮かび、フランにそう指示した。
その方法を試すためにわたしはもうワンステップ後ろに下がってゴブリンロードから十分な距離を取る。
ゴブリンロードは当然わたしのことを追うために突進してきた。
わたしはタイミングを合わせるためにフランの方を見ると、フランは【ストーン】で尖った岩を作り出し発射したところだ。
「今だ!」
わたしは体を捻りながらジャンプをして、フランがだした【ストーン】を後押しするように蹴った。
すると、その【ストーン】はさらにスピードを上げて、こちらに突進してきたゴブリンロードの胸に深々と突き刺さる。
ゴブリンロードは動きが一瞬止まり、口から血を吐きだした。
「フラン!魔力を二倍込めて【ストーン】を出して!」
「頑張ります」
フランは魔力を過剰に込める魔法の出し方を練習させたことがないのでできるかどうかは賭けだができたら大きなアドバンテージになると思いわたしはそう指示をした。
わたしはその間にゴブリンロードの胸に刺さった岩に対して蹴りを入れ、さらに奥に差し込んでいく。
ゴブリンロードはついに膝をついたが、まだ倒れてはいない。
相変わらず、タフだ。
「いきます!」
後ろからその声が聞こえ、目をやるとさっきの三倍はあろうかと言うほどの【ストーン】がフランの目の前には浮かんでいた。
わたしはそれに対し、【初級魔法】でこれって末恐ろしいなと思ったが、冷静にフランが発射したその岩をうまく両手で掴み、その勢いを利用して体を回転されることにより遠心力による力を加え思いっきり首に突き刺した。
ゴブリンロードの首から血がブシャッーと飛び散り、ついにうつ伏せに倒れた。
わたしはそれを確認すると、【アイテムボックス】からグルマの剣を取り出して、首を刈った。
「よし!これで終わりだね」
「やりました!」
フランがわたしを目掛けて走ってくる。
ゴブリンロードはかなり強かったが、初めての二人での大物勝利だと思うとかなり気持ちがいい。
わたしは走ってきたフランを両手で受け止め、勝利をハグしあって喜んだ。
だから、気付くのが遅れてしまったのだ。
奥から、そこは壁であるはずのところから人が私たちに近づいてきているのを。
そして、私たちに対し何か魔法を放ってきたのを。
わたしが気づくことができたが、気付くのが遅すぎた。
わたしはフランを庇うためにフランを突き飛ばして、当たらないように両手を火遂げてその魔法を受け入れる。
その魔法は衝撃派のようなものでわたしに当たった瞬間わたしは吹っ飛んでいくのだった。
邪神ちゃん、地上に降り立つ!〜神に転生したので、魔法の世界で冒険がしたい〜 ほしくず かなた @yamatakanata
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