第23話 ダンジョンボスとの対決!!
手に大きな剣を持ったゴブリンロードは王座のような椅子に座り、私たちも品定めするかのような目つきでジロジロと見てくる。
その目つきはとてもいやらしいもので、布ごしにも下半身が大きくなっていることがわかる。
「な、なんでゴブリンロードがいるですか?」
「わからないけど、多分ワープする系の罠にかかってしまったみたいだね。それでダンジョンのボスの部屋まで飛ばされてしまったんだと思うよ」
わたしがワープされる前に床には魔法陣が描かれているのが見えた。
多分、誰かが設置したのだろう。
「ど、どうすれば。ドアも開きません!な、なんで開かないんですか!」
「フラン一旦落ち着いて」
フランは初めてみるゴブリンロードを目の前にし、パニック起こし多分ボス部屋の入り口であろう門を引っ張っている。
しかし、なんらかの魔術がはわからないが開かないだけではなく、ゴブリンロードを刺激しただけになっていた。
「グルルルル」
「ひぃっ!」
ゴブリンロードは逃げようとしたフランを察知したからか、ニヤニヤ顔から怒ったような顔に変わり、立ち上がった。
その大きさは縦だけで言えば、私たちの二倍以上の大きさがあり、大きな剣と怖い風貌でかなりの威圧感があった。
「実際みるのは初めてだけど、かなりインパクトあるなぁ」
「ユメ様!そ、そんなに落ち着いている暇はないです!は、早く脱出する方法を考えないと!」
フランはわたしの服を引っ張りながら、とても焦った口調でそう言った。
その顔は真っ青でへっぴり腰になっている。
「大丈夫だよ。わたしがゴブリンロードを倒してくるから、端っこで待っててね」
わたしはそう言って両手に短剣を構え、ゴブリンロードに向かって地面を蹴った。
後ろから、フランの
「待ってください!」
という声をが聞こえたが、わたしはそれを無視して進んだ。
本心を言えば、フランと協力して倒したかったのだが、流石に最初からこの相手では荷が重いだろう。
レオンが言っていたことによれば、15階層はBランクレベルだと言っていた。
さらにバーサーカーはゴブリンロードは3人でやっとのこと倒したとも言っていた。
そんな相手にフランを強制的に参加させていたら、今後の信頼関係にも影響しかねない。
それらのことから、わたしは今回は一人で倒すことに決めた。
ゴブリンロードは突進してくるわたしに気づくと手に持った剣を思いっきり横に薙いだ。
わたしはそれを飛び越え、首元を狙って短剣を差し出すが、その短剣が首に届く前にゴブリンロードが庇った腕に刺さった。
しかも、その剣はかなり浅くしか刺さっていない。
ゴブリンロードはその短剣の刺さった腕を振り払ったが、わたしはその前に短剣を抜き、振り払った腕の勢いを利用してゴブリンロードから距離を取った。
「固すぎる」
ゴブリンロードが硬いというともあるが、わたしの攻撃力が低いということもあるだろう。
「ユメ様!」
「大丈夫だから、安心してそこにいて!」
心配して今にも駆け出しそうになっているフランをわたしは止め、もう一度ゴブリンロードはに向き直った。
わたしはもう一度ゴブリンロードに向かって走り出し、同じような剣の攻撃をコントはしゃがんで避けた。
剣の攻撃は避けたものの上を見ると、もう片方のゴブリンロードの腕が降ってきていた。
わたしは軽く飛び、ゴブリンロードの下半身の大きいものの上に乗り、その攻撃を回避する。
ゴブリンロードは手を振り下ろしたことにより体が前のめりになっており首が狙いやすい体勢になっていた。
わたしはその固くて非常に安定した足場を蹴り上げ首に向かって短剣をだした。
「やった!」
そう思ったが、短剣が首に刺さるだけで切ることはできず、刺さった剣のせいで体勢を崩してしまったわたしは勢いのまま吹っ飛んでしまった。
「しまった!」
「ユメ様!」
空を飛びながら、下を見ると目に涙を溜め心配そうにわたしに向かって叫んでいるフランがいた。
「こんなところでこんな相手なんかに負けられないよね」
わたしはそのフランを見てそう呟くと、空中で体を捻って地面に足から着地し、右手だけに残った探検を握りしめ、王座の後ろに隠れた。
王座からゴブリンロードの様子を覗くとゴブリンロードはドシンドシンとわたしの方に体を回転させているようだ。
そして、わたしの方に向き直ると剣を思いっきり振り下ろした。
わたしは横に避けて回避したが、さっきまで隠れていた王座は綺麗に真っ二つになっている。
「うわぁ、これは当たったらひとたまりもないね」
そんなことを言っているのも束の間、ゴブリンロードは今度は足で踏み潰そうとしてきていた。
わたしは股の間に入ってその攻撃を避けると、短剣で思いっきり股の間の大きいものを体を回転させて勢いをつけながら切りつけた。
「グオォォォォォォォォ!!!!!!」
ゴブリンロードは今まで聞いたことのないくらいの悲鳴をあげた。
そんなに痛かったのだろか?
それは確かに固かったものの腕や首に比べると剣が通りやすかった。
切り落とすまではいけなかったが、かなり深く刺さったはずだ。
わたしは追い打ちをかけようとしたが、ゴブリンロードに異変を感じて距離を取った。
もちろん、フランを庇うようにしてだ。
ゴブリンロードを見ると、すごい怒った形相でわたしのことを睨みつけており、あたりには黒いモヤをまとわせている。
わたしがその見たことがないモヤに警戒をしていると、そのモヤはいくつもに分かれて、ゆっくりと地面に吸い込まれていった。
その瞬間、地面が沸騰するかのようにあちこちでボコボコとなり、地面が段々と盛り上がっていくと、そこからゴブリンが現れた。
「これは大変になりそうだなぁ」
そのゴブリンの数は10数体おり、どれもわたしに対して強い敵対心を持っているようだ。
ゴブリン自体は全く強くないのだが、ただでさえ苦戦していたゴブリンロードに加えて相手しないといけないとなると話が変わってくる。
しかも、フランを庇いながら戦わないといけないのだ。
これはジリ貧になりそうだなと思った時だった。
後ろから、
「わたしも戦います!」
という、縛り出したように震えているが、はっきりと勇気も持っていったようなフランの声が聞こえたのだった。
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