第10話 暗殺依頼1完了と宝探し

おじさんの首がペチョっという音と共に血の上に落ちたのを確認して、私は息を吐いた。


「ふぅ〜、すごく強かったなぁ。やっぱり能力を封印したのは正解だったね」


ここまで白熱した戦いは能力を封印しなければできなかったことだ。

まぁ、おじさんも能力を制限しての戦いだったのでお互い様といえばそうなのだが。


私は剣の鞘をおじさんの腰から引き抜いて、剣をしまった。


「でも、あんなに苦戦するなんて私もまだまだだなぁ。もう少し頑張って鍛えないと!」


いくら能力が封印されているとはいえ、もう引退している冒険者、しかもハンデありでギリギリな戦いとは想像していなかった。


「【クリーン】」


【クリーン】で私の体と剣の血を消すと、剣を【アイテムボックス】入れた。


「そういえば、お金とかはどこに直してるんだろ?」


私は剣とお金を好きは好きにもらっていいという言葉を思い出し、お金を探すことにした。


おじさんがいっていた通り、この部屋はすでに片付けられており何もない。

あるとすれば、扉が二つあるくらいだ。

1つは入口なのだが、もう一つはわからない。


「この中にあるのかな?入ってみよう!」


その扉を開けてみると中には机、椅子、棚などが乱雑に並んでいた。

きっと私がきたとわかった瞬間、子供達を移動させてから片付けたのだろう。

そして、机の上にはたくさんの書類、ノートが二冊置かれてあった。


私はなんとなく気になってノートを開けてみた。

するとそこには、たくさんの子供達の身体能力、性格、長所、短所がびっしりページごとに書かれており、右下には奴隷として売るか、家族として鍛えるかが記されていた。

そのノートを見る限り、奴隷として売るか売らないかはその人の長所と向上心があるかどうかで判断しているようだ。


「だから、奴隷売り場にいい人少なかったんだぁ。納得納得!」


私が仲間にしたいと思っていた人材は全ておじさんがすでにとって育てていたのだ。

だから、私が奴隷売り場をいくら探したところで見つからなかったということだ。


「こっちのノートはなんだろう?」


私は見ていたノートを閉じて、もう一冊のノートを開いた。

そこには金のことについて書かれいでいた。

何人のこどもをうってどのくらいの収入を得たのか、食費や勉強道具を揃えるためにどのくらいのお金が必要かが書いてあった。


「うわぁ、すごい大きなお金だぁ」


金額のとこには大金貨が何枚とか白金貨が何枚とか書かれていた。

さすが、奴隷商会長だ。


「ん?これは…」

そう思っていたが、ノートに書いてあった残金はそこまで残っていないようだった。


「あれ?あまりお金ないのかな?」

奴隷商会長というほどだからたくさんお金を持っていると思っていたのだが、どうやらそうでないらしい。

ギャンブルや女遊びに使っている可能性もあるのだがそういうタイプにも見えないし、あの歳でそういうことをやっていたらなかなかにすごいだろう。


「まぁ、あんなにたくさんの子供と手下を養ってたらそうなるのかなぁ」

実際、子供は逃げたうちの一部しか見えていないのだが、それだけでもかなりいたように思える。

それに手下をめんどくさいほどに多かった。

実際、食費に使っていた金額だけでもかなり高かった。


「ってことはお金そこまでないのかぁ」

私はもらえるお金は多くないとか元少し肩を落としたが、部屋をくまなく調べる。

ほとんどが奴隷関連の書類や政治などの本で私にとって役立ちそうなものは何もなかった。


「あ、これは!」

そんな中、私がなんとなく開けた棚に手でギリギリ持てるサイズの袋が入っていた。

試しにそれを取り出してみると、


「うわぁ、意外に重い!」

その袋はその見た目とは違い、かなりずっしりとした重さだった。

試しに中に入っているものを取り出してみると、それは金貨だった。


「やったーーー!お金だ!」

この部屋にはないと少し諦めかけていたところのお金ということもあり、私はかなり喜んだ。

そして、私はその袋を【アイテムボックス】に入れた。


「よし!これ以上探すのも大変だし、そろそろ次の依頼に行こうかな?」

こんなに広い屋敷を探すとなると大変だし、死体も転がっているから歩くだけでも時間がかかる。

さらにもう十分なくらいのお金が入っているであろう袋は見つけた。

これ以上探す意味がない。


そう思った私はおじさんがいた部屋に戻って、窓を割った。

ここは三階だ。

下を覗いて少し恐怖を感じたが、何よりラノベに憧れていた私はその窓から身を乗り出し、飛び降りた。


下からかなりの空気抵抗を感じたが体のバランスをちゃんと保って見事に着地をすることができた。


「っと!すごく怖かったぁ!」

三階からの落下はなかなかのスリルがあった。すごく怖かったものの、もう少し高いところから飛び降りたらもっとかっこいいだろうなという思いもあった。

しかし、飛び降りたところが運悪く死体の上だったということもあり、ぐちょぉという音と飛び散った血が私にとっては少し不快に感じた。


「【クリーン】」

その飛び散った血を消すために私はそう唱えて私は自分の体を綺麗にしてから、次の依頼書を【アイテムボックス】から取り出した。


「どれどれ?」

次の依頼の相手はおじさんの奴隷の取引相手先のトップらしい。

暴行、殺人、誘拐あげて行ってはキリがないほどの悪さをしているようだ。

そして、その相手は今回の取引のために来ているらしく、お偉いさんが使う宿に泊まっているらしい。


「あ!ここから近いじゃん!」

幸いにもその場所はこのすぐ近くの場所にあった。

もともとおじさんの家が、伯爵の屋敷に近いということもあり、その宿も近くにあるようだ。


「よし!今度こと早く終わらせるぞ!」

1個目の依頼は思ったより長く時間がかかった上に本来の目的であった仲間探しもできなかったこともあり、私は早く終わらせようという意気込みでその宿に向かって走り出すのだった。

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