第11話 暗殺依頼2,3と出会い

そうして、私は宿の前についていた。


「あぁ、いくらお偉いさんが使う宿といってもここは異世界だからこんなもんだよねぇ」


私はすごく高くて豪華な宿を想像していたものの実際にはそこまで豪華というわけではなく、ただ広くて警備員が多いだけのようだった。


「また、警備員が多いなぁ。でも、もう戦うのは十分だし今度はこっそり殺しにこう!」


そう思い、私は気配を消して宿の裏側へと回った。

そして、宿の壁を登り始める。

警備員は流石に宿の後ろは見張っていなかったため人目を気にせずに登ることができた。


「あれどこの部屋だっけ?」


私はもう一度【アイテムボックス】を開いて依頼書を取り出す。


「よかった、ここであってる!」


そうして、私は窓を割った。


ガチャン!

という大きな音が響き渡る。


私は急いで中に入って、中の様子を確認する。

ベットには依頼書の人と同じ顔の人が横になって寝ており、それ以外には誰もいないようだ。


その少しの間に廊下からバタバタという誰かが走ってくる音が聞こえる。

多分警備員だろう。


「急がないと!」

私は急いで【アイテムボックス】から短剣二本を取り出し、大きな音が出てもいまだに爆睡している暗殺対象の首を切り落とした。


その瞬間にガチャリとドアが開く音が聞こえる。

私は急いで、小さい声で

「【ライト】」

と唱えると部屋の中が光り始めた。


中に入ってきた人は

「眩しい!」

「くそ!中が見えないぞ!どうなっている!」

といううるさい声が聞こえてきたが私はそれを気にせず、再び窓から飛び降りるのだった。



「やっぱりこっそり暗殺した方がすごく早く終わったね。このまま三つ目もさっさと終わらせるかぁ」

そういって、私は今死体が発見され大騒ぎになっているであろう宿から急いで離れて裏通りに入った。

ここなら見に来る人もいない。

ここは異世界だ。日本と違って治安が悪い。

こんな夜中に裏通りに1人で入るなんて自殺行為なのだ。


「最後はどんな依頼かなぁ?」

しかし、そんなことなど気にしてない私はそのまま裏通りで【アイテムボックス】から最後の依頼書を取り出した。


「えっ?」


そして、その暗殺対象を見て驚いた。

だってそれはこの街を治めている伯爵だったからだ。


「これって本当に大丈夫なのかな?」

伯爵を殺したらこの街がかなり荒れることになりそうだ。

それだけどんな場所でもトップという存在はでかい。そんな伯爵を殺すのがどんな影響を与えるのかかなり心配だが、レオンがちゃんと依頼書を見て判断しているのならきっと大丈夫なんだろう。


「じゃあ、伯爵の家に向かいますか!」

そういって伯爵の家に向かったのだが、


「ひろっ!!」

その庭はおじさんとは比べ物にならないくらい広く、家も豪邸と表すのをおこがましいほどにデカかった。


「街を治めている人の家は全員こんなにでかいのかな?」

もしかすると、奴隷で儲けているここの伯爵だけかもしれない。


「まぁ、関係ないよね。それより早く殺して今日はゆっくり寝よう!」


私は大胆に正面から伯爵家に侵入したのだが、思ったよりあっさりと中に入ることができた。

警備員ももちろんいたのだが、こんなに広い庭でバレないように行くことはとても簡単だった。


「えぇっと、確か殺すのは伯爵の家族全員だったよね?伯爵と婦人、後子供3人だったような」

【アイテムボックス】から依頼書を取り出して、再度確認する。


「うん?なんか裏にも書いてある」

私が持ち歩いて依頼書を眺めていると、裏から何かの文字が透けて見えていた。


私はその地図をひっくり返すと、そこにはこの屋敷の地図学校書かれているようだ。

しかも、誰がどの部屋にいるのかまではっきりと書いてある。


「こんなことまでわかっていいのかな?」

この地図には何かあった時の隠し通路や宝物庫の場所まで書いてあるのだ。


「まぁ、いいか。お!ちょうどここが伯爵の部屋だ!」

その地図はあまりにもわかりやすく書いてあり、今いる場所をすぐに把握することができた。

しかも、目の前にある扉がちょうど伯爵の部屋だったのだ。


私は息を殺して静かにドアを開けた。

中は暗くてあまりはっきりとは見えないがとても広く、月明かりが宝石を照らしてキラキラと輝いていた。


私はその明かりを頼りにしてベットへと向かう。

しかし、ベットに向かうにつれてだんだん臭く感じるようになっていった。


「これは…」

私は嫌な予感を感じながらベットへと向かうと案の定そこには伯爵と他に女の人2人が裸で寝ていた。


私は試しに布団をめくってみる。

「小さい…」

私は静かに布団を被せて、さっさと3人の首を切った。

寝ていたため、呻き声もあげることなく静かに殺すことができた。

私はもうこんな部屋に居たくないと、適当に宝石をとって、部屋を出るのだった。


それからも私は婦人、子供2人と順調に暗殺をしながら部屋をまわって行き、ついに最後の1人となった。


伯爵、婦人子供2人は全員髪が茶色で体型は丸々太っていたのが印象的だった。

やっぱりここの家は奴隷だけで成り立っているだけなのかもしれない。


「ふぅ〜、遠かったなぁ」


そんなことを考えながらも私は静かに走り続け、私はやっと最後の1人がいる部屋へと到着したのだが、私は疑問に思うことがあった。


それは伯爵、婦人、子供2人はかなり近い部屋にあったので殺しやすかったのだが、なぜか子供が1人だけ遠いところに部屋があったことだ。


しかもそのドアはさっきの部屋と同じ家にあるものなのか疑うくらいにボロい作りになっていた。

私はこんなところに本当に子供がいるのだろうか。私を引っ掛けるための策略じゃないのかと若干怪し見ながら、さっきと同じようにドアをゆっくり開け中に入っていく。


「うわぁ」

ドアを開けた瞬間、中からジメジメした空気が出てきた。

その空気は生暖かく、気持ちの良いものではない。

まるで牢獄かのように思える場所だった。


私はできるだけ口呼吸も意識したがら、その部屋に足を入れた瞬間だった。


「えっ?」

そんな声が聞こえて私は立ち止まり、その声のした方を向く。


するとそこにはボサボサの白い髪、ボロボロの服、そしておじさんのように光っているわけではない透き通ったような赤の瞳を持つ少女が月明かりに照らされて座っていた。

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