第19話 冒険者カードと信仰度
「お、きたか」
私たちが冒険ギルドの中に入ると、受付にバーサーカーと受付嬢のような人が立っていた。
ギルドの中にはその2人以外はいない。
みんな決闘場にいっており、多分、わたしの話で盛り上がっているのだろう。
それか、わたしが怖くて近寄れないのかもしれない。
「さっきの戦いは拝見させていただきました。強い冒険者なら大歓迎です。どうも、受付嬢のテレサと申します」
「私はユメ、この子はフラン。よろしくね」
「はい」
テレサが丁寧にそういったのに対し私たちもお辞儀をして返す。
「何かあったときはこいつにいってくれ。こいつは俺が信用しているやつだから何かあった時はすぐに対応してくれるだろう」
「ありがとう」
なるほど、バーサーカーが私たち用に用意してくれたのか。
私たちの見た目だと今日のことを知らない人から舐められやすい。
それ対策に用意してくれたのだろう。
「じゃあ、さっそく冒険者登録するか」
「わかりました。ではこの水晶に魔力を流してください」
「はい」
そういうと、テレサは水晶を取り出した。
わたしが先に魔力を流そうとすると腕が引っ張られた。
もちろん引っ張ったのはフランだった。
「あ、あの、魔力ってどうやって流すんですか?」
「あ、それならわたしが手伝ってあげるよ」
「手伝うって?」
なるほど、今までろくに魔力を使ったことがなかったのか。
それなら魔力の出し方がわからなくて当然だ。
しかし、わたしもおじいちゃんにしてもらったいい方法がある。
「いいからいいから、水晶に手を置いて」
「は、はい」
わたしは背中からゆっくりと魔力を流す。
それを背中から足、手、頭へと隅々まで行き渡らせていく。
「な、なんか流れてきてます。
「それを手から出すイメージ」
「で、できました!」
「でしょ!」
すると、水晶が綺麗に光出した。
多分、これができた合図なのだろう。
「こ、これはどういうことだ?」
「こんなやり方聞いたことがありません」
「お嬢ちゃん、いったいどうやったんだ?」
その様子を見て、バーサーカーとテレサは急に慌て始めた。
もしかして、このやり方は地上だと普通じゃなかったのかもしれない。
「魔力を背中から流しただけだよ」
「それって俺でもできるか?」
「どうだろ?下手な人がすると魔力が暴走するかも」
これは魔力の精密な操作が必要なのだ。
慣れないと魔力が暴走して、最悪その相手の体を爆散させてしまうかもしれない。
「そうか、じゃあ、やめといた方がいいかもな」
「うん、そうした方がいいと思う」
「この情報って上に流しても大丈夫か?」
「上ってギルドマスターとか?」
「後、国王とか研究者たちにだな」
「別にいいと思うよ」
「ありがとう」
別にこれに関しては流しても困る情報じゃないだろう。
「で、わたしも魔力流していい?」
「あ、大丈夫ですよ」
「ほいっと!」
わたしも水晶に魔力を流すと、フランと同じように光出した。
すると、テレサは
「出来上がった冒険者カードの方を持ってまいりますね」
といって、奥へと向かった。
とり残されたわたしとフランとバーサーカーは沈黙していたが、突如バーサーカーが
「チョイっと俺にも魔力流してもらってもいいか?」
と言い出した。
「え?別にいいけど」
「ぐわっ!かなりゾクゾクするな」
そんな感じでしばらくしていると
「持ってきました。これが冒険者カードです。こちらがフラン様のこちらがユメ様のとなります」
とテレサがカードを二つ持って奥から出てきた。
わたしはそのカードを受け取ってみると、そこには
名前 ユメ Lv.1 Fランク
ステータス
HP:100 MP:100 攻撃:100 防御:100 敏捷:100 体力:100
信仰神 なし
信仰度 0
スキル 【初級魔法】
EXスキル なし
と書かせれていた。
「ん?信仰神?信仰度ってなんだろ?」
ステータスオール100やEXスキルも気になったが、わたしが真っ先に目がついたのはその二つだった。
今まで読んできたラノベには見たことがない表記だ。
「信仰神っつうのはその人それぞれが信仰する神のことだ。その信仰する神によってもらえる加護が違うんだ。俺が信仰している武勇の神、ストレングス様の場合は攻撃力upだったり、筋肉のつきやすさupだったり色々だ。他に有名な神で言えば冒険の神、トレジャーだな。敵を倒した時にもらえる経験値が増えるんだ」
なるほど、バーサーカーはだからそんなに筋肉がついてるんだ。
まぁ、努力もあるだろうけど。
それにしてもトレジャーって有名な神だったんだな。
友達なのに知らなかった。
「それってどこで選べるの?」
「それはだな教会にいってその神に対して祈りを授ければもらえるぞ。しかし、気をつけなければならないことがある。それは信仰度だ。信仰度っていうのは文字通りどれくらいその神を信仰しているかってことだが、心からちゃんと信仰していないとその値が伸びない」
「値が伸びたらなんかいいことでもあるの?」
「それは貰える加護の強さが変わるんだ。正直、信仰度0の場合もらえる加護はほとんどゼロと言っても過言ではない」
じゃあ、多分わたしには無理だろうな。
わたしは友達を心から信仰できないし、知らない神を心から信仰できるようなタチではない。
まぁ、加護がなくてもある程度はどうにかなるだろう。
「おじさんは大体どれくらいなの?」
「俺か?ちょっとまて」
おじさんはポケットをガサゴソと漁りカードを取り出すと、
「これだ」
と私たちに見せた。
バーサーカー Bランク
信仰神 ストレングス
信仰度 78
「え?他のステータスとかスキルは見れないの?」
そこに書いてあったのは信仰神と信仰度だけで他のステータスは全くみることができなかった。
「あぁ、他のステータスは自分にしか見れないようになっている」
「そうなんだ」
「後、さっき言ってた攻撃力が足りないという話なんだが、それはお嬢ちゃんの攻撃力が相手の防御力より低かった場合、その差分相手へのダメージが減少するんだ。まぁ、それでも首とかを切られたら一撃だけどな」
「了解、おじさんありがとう」
なるほど、まるでゲームみたいでわかりやすくていいね。
「他に何か気になることはあるかい?」
「ステータスってどれくらいが平均なの?」
「それはだな最初に冒険者登録するときは平均が80と言われている。しかし、数値はHPや攻撃力が高くなりやすく、逆に敏捷は低くなりやすいと言われている。これがAランクやBランクになると平均が1000超えてくるがな」
「なるほど」
じゃあ、わたしは初心者の平均より少し高いということになるのか。
あと、他の人より足が早く感じていたのは敏捷が低くなりやすいってのもあったんだね。
納得!
「他にあるか?」
「うーん、EXスキルって言っても教えてくれないでしょ?」
「ガハハハハ、当たり前だ。まぁ、機会があったら見せてやる」
まぁ、EXスキルというのはいわば、切り札だ。
他の人にはない自分だけのスキルということは相手からは予想できないということになる。
教えてもらえないのは当然だろう。
「その時が来るのを楽しみに待っているよ」
「じゃあな」
「バイバイ、おじさん」
そういうと、バーサーカーはギルドから出ていった。
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