第3話 初バトル!
私は周りを警戒しながらナイフを握る手に力を入れ、どこから襲われてもいいように構えた。
やがて、姿を現したのは地球でいうオオカミだった。
しかし、その大きさは地球のオオカミの二倍くらいあり、色は赤みがかかっていた。
できるだけ初見で楽しみたかったから、私は自分でこの世界についてほとんど調べていない。
わかることがあるとすれば、授業で習ったことと友達にネタバレにならない程度で教えてもらったことくらいだ。
だから、この魔物の名前も強さも全くわからない。
しかし、雰囲気的にそこまで強そうに感じない。
周りに20匹くらいいることから、1匹1匹は強くないから群れているのだろう。
「最初の相手に申し分ないかな?まぁ、最初は腕試しってことだし」
私はオオカミ(仮)と数秒見つめあって同時に駆け出した。
「よっと、はっ!」
私が走り出すとオオカミも突進してきたが、軽くオオカミの突進を横にずれて避け、首を切断する。
返り血が飛び散ったが、それが自分にかからないくらい速いスピードで違うオオカミに狙いを定める。
「遅いよ!」
そして、連続にして5匹の狼をやっつけた。
「想像以上に手応えがないなぁ。あっ!」
私はこの世界に来てからの初めての戦いが想像以上にあっけないものになりそうで肩を落としたが、あることを思いつき【アイテムボックス】からもう一本ナイフを取り出した。
「これでもっと色々な倒し方ができるね」
やっぱり魔物を倒すのであれば、派手さというか芸術点も大事だ。
「どんな倒し方しようかな?」
両手でクルクルとナイフを回しながらも、決して警戒を怠るようなことはしない。
「そうだ!」
そう叫ぶと、わたしは駆け出しオオカミを横から飛び、体を回転させながら両手で2匹ののクビを同時に落とした。
「今の多分すごくカッコよかったよ!」
思った通りにきれいに倒せたことでわたしのテンションはマックスになった。
しかしその興奮する気持ちをできるだけ抑え
、冷静に辺りを見回すと残り13匹になっていた。
オオカミは最初とは打って変わって、かなりビクビクしているように見える。
すると、いきなりその中の一匹が「ウォォォーーン」と吠えるとまとめて突っ込んできた。
「わぁ、いきなりくるんだ!」
そんなことを言ったが、頭はかなり冷静で動揺は全くない。
オオカミの動きを見抜き冷静に避けながら、ジャンプしながらだとか、ナイフ使わずにアッパーをしたりしてあっという間に最後の1匹になってしまった。
その1匹はさっき吠えたオオカミだった。
きっとあの群れのリーダーだったのだろう。
オオカミはわたしが一歩進むたびに一歩一歩と下がっていく。
オオカミは私を睨んで唸っているが、その目からは怯えていることがわかる。
「ありがとう、オオカミさん。すごく助かったよ」
そう言ってわたしはスパッと最後の狼の首を切り落とした。
「ふぅ、終わった〜」
私は背伸びをしながらそう言った。
そこまで手応えがあったわけではないが、腕の長さや体の動きやすさ身体能力の高さなどを調べるにはちょうどいい相手だった。
「それにしてもこれはどうしよっか?」
私の周りには20匹の狼の死体が転がっており、そのどれもが血だらけだ。
「このまま放置でもいいのかな?」
せっかく服に返り血を浴びずにオオカミを倒し切ることができたのにそれを回収していっては汚れてしまう。
わたしはかなり迷ったが、あることを思いついた。
そして、試しに「クリーン」と唱えた。
すると、少し土がついていたローブが一瞬で綺麗になった。
「やった!クリーンも使えた」
【クリーン】は汚れをきれいに落としてくれる魔法だ。
これさえあれば、たとえ血がついてしまってもきれいに落とすことができる。
わたしはクリーンが使えるが使えることがわかると、オオカミの頭と胴を【アイテムポックス】の中にポイポイといれていった。
【アイテムボックス】の中は原理はわからないが時間が止まっているし、違うものへの影響を及ぼすこともないので他のものに血がつくことをない。
「よし!これでオッケー!じゃあ、クリーン」
片付けがおわり、【クリーン】をつかうと、ローブにべちょっりとついていた血はきれいに消えた。
「今の所すごく順調!この調子でもっともっと先に進んでいこう!」
全て後片付けまで完璧に終わったわたしは片手を上に突き上げてそういうと森を出るまでまっすぐに突き進んでいった。
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