第7話 暗殺依頼1と豪邸
「あぁぁぁぁ、レオンから少しお金をもらっとけばよかったーー!」
私は暗くなった空の下、美味しそうな匂いがただよう店の前で叫んだ。
あちこちに美味しそうなものや可愛いがものがあるのだが、もちろんお金のない怪しい子供にくれるところなんて一つもなかった。
「美味しそう、食べたいなぁ」
そんなことを言っても、代わりに払ってくれる人もいるわけでもないし、余計お腹が減るだけだ。
グゥぅぅ〜
そうお腹が大きな声でなると、周りの何人かが私の方に視線を向けてニヤニヤしてくる。
「は、恥ずかしい。こうなったら、依頼をこなしてお金をもらうしかない!」
音の鳴ったお腹を抑えて、私は小さい声で決意した。
私は人目のつかない裏通りにもう一度移動して、依頼書をまず一つ取り出した。
グルマ=ルマンドという名前の奴隷商会のようだ。
主な罪状は奴隷商会を25年前に立ち上げ、伯爵を奴隷合法にするよう唆して奴隷の売買の拠点をたくさん持ち、この街の奴隷売買の元凶だそうだ。
「確かにこれは奴隷嫌いなレオンからしてももってこいの依頼だね。見た目もすごく怪しそうだし。他にはどれどれ〜」
その人はとんがった髭に目にはあっていないちっこいメガネ、愛想の悪そうな顔をしていた。
その下には『注意』と書いてあり、彼は用心深くたくさんの手下を見張りさせているようだ。
「へぇー、面白そう!」
『しかし、』と書いてあり、その下には『全員そこまで強くないので気にする必要がない。ただ、数が多いので注意するように』と書かれていた。
「へぇー、つまんなそう」
私は一気に肩を落とした。
確かによく考えてみれば、奴隷が合法なのはこの街だけなので、奴隷商会長を守ってくれるのはこの街の人か、相当なバカだけだろう。
「強くて、頭も良かったらこんないつやられるかもしれない依頼を受けるわけないかぁ〜」
私は奴隷商会長の家の場所だけ確認して、依頼書を【アイテムボックス】の中に戻した。
そして、私は壁を掴んで壁キックのようにして屋根の上に登った。
本当はラノベのようにジャンプで登りたかったのだが、身体能力が制限されている今そんなことができるはずがなかった。
「よし!確かあっちの方だったよね」
外は街は夜なのにある程度街灯などで明るい。
「この街が奴隷によってこの街が栄えているなら、奴隷を禁止するかどうかも悩みどころだよね」
奴隷が違法だったのであればこの街の人々はきっと今よりは貧しい暮らしをしていたのだろう。
でも、それによって礎になっている奴隷たちがいるなら、それがこの国で違法になっているのであれば、奴隷がなくってこの街が廃れてもしょうがない。
「まぁ、私は依頼を完遂するだけだしねぇ」
そう言って、屋根の上をぴょんぴょんと飛び越えながら、奴隷商会長の家を目指すのだった
「うわぁ、すごい豪邸だなぁ」
私は奴隷商会長の家を近くにあった家の屋根の上から眺めていた。
その家はまさに豪邸といった感じで立派な門に広い庭、三階建てで横長い家だった。
しかも、門の前や庭にも武器を持った手下が
いた。
だが、その大半が周りの人と話していたり、寝ていたりしている。
「手応えなさそうだなぁ」
数だけ多い敵と戦うのもタサめんどくさいから、忍び込んでサクッと殺したいのだがここまでたくさんの手下がいれば途中で気づかれて囲まれて終わりだろう。
「めんどくさいなぁ。でも、正面突破するのが一番安全だよね?」
ここが中心から離れているからというのもあるが、幸いここの周りには人がいないから多少暴れても大丈夫だろう。
「よし!行くよ!」
ローブについていたフードを深く被り、私は門の方へ飛び降り、着地と同時に首元を掻っ切った。
門番の2人は叫び声を上げる暇なく倒れていったが、話し声が大きいせいかその音は聞こえなかったようだ。
私は門を飛び越え近くにいた3人を瞬時に殺す。
「な、なんだ」
「おい、みんな急いで起きろ!」
「何が起きたんだ!」
状況も理解できずに慌てているだけので下を片っ端から殺していく。
10人以上殺してから、やっと手下たちも状況がわかってきたようだ。
「おい、侵入者だ。すでに何人かやられてるぞ!」
「早く武器を構えろ!」
「どこにいる!暗くてわからないぞ!」
「大丈夫だ!侵入者は1人のようだ落ち着いてぐわぁぁぁ!」
さっきの場所とは違い、ここには何もないので周りが暗い。
さらに私の着ているローブが黒ということもあり、手下たちは私の場所を把握するのはかなり困難のようだ。
それからも一回も攻撃を向けられることもなく、庭の手下は全て殺し終わった。
「【クリーン】。ほんとに弱かったなぁ。ちょっとは期待してたのに……。ここから強い敵が位なら嬉しいけど、いなそうだなぁ」
私は汚れを落として、ちょっとだけ期待しながらドアを開ける。
「お邪魔します!」
と言位終わったとほぼ同時に私は危機を感じてジャンプする。
ドスっといい、そこには矢が刺さっていた。
「危なかったぁ。でもこれくらいじゃ足りないよ!」
そう言って走りだした。
前には30人くらいの手下が構えており、その10人が弓矢を持っている。
しかし、私の速いスピードについて来れていないようで、後ろにいる剣使いたちの邪魔になっているようだ。
「早く敵を始末しろ!」
「敵が見えないので無理です」
「じゃあ、さっさと退け!」
そんな庭でやったことと同じようなことをもう一度繰り返した。
奴隷商会長はもっとまともな手下を雇えなかったのだろうか。
いくら誘うことができる人が少ないとはいえ、たくさん儲けているならもっといい人を雇えただろう。
ここで倒し終わりやっと進めるかと思うとまた手下たちが現れた。
それからは本当にどこにいたんだというくらい手下たちが湧いてきて殺し現れては殺しを繰り返巣だけでかなりの時間が経っていた。
「ふぅ〜、やっと終わったぁ」
私は顔に飛び散った血をローブで拭いながらそう言ったが、ローブについた血が余計に顔につくだけだった。
周りは足の踏み場がないくらい死体で埋め尽くされており、本当の意味でのレッドカーペットだった。
「あとは商会長を殺すだけだからサクッと行こうかな」
そう思ったが、今度は商会長の部屋を探すのに苦労した。
あちらこちらに同じような扉がずらっと並んでおり、一個一個念入りに開けていった。
そうして、ようやく三階まで登っていくと、目の前に豪華な扉があった。
「多分、ここが商会長の部屋かな?あ、でも騒いでたから逃げられてるかもなぁ」
よく考えてみたら、これは暗殺の依頼なのだ。なのにここまで正面から突破して行ってはわざわざ殺しに来ましたといっているようなものだ。
「これはやばいかもっ!」
私の頭には逃げれて依頼失敗の文字が頭によぎり、中にまだ残っているようにと願いながら勢いよくドアを開けた。
しかし、ドアを開けた瞬間、ドスッという音が響き渡るのだった。
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