夏休みの終わる時

　十三歳の零士は、見覚えのない場所で目覚める。どうにか交番に辿り着くと、今度は警察署で取り調べを受ける。さらに、自宅で母の由美が殺されていたことを知る。
　一ヶ月後、零士は離島に向かう船に乗る。父・茨木統志郎の家で暮らすためだ。もっとも母は統志郎とは早くに離婚しており、零士は父の顔すら知らない。そんな船の中で、異様な外国人ペドロと知り合う。
　やがて島に到着した零士。父は、変わり者だが優しい男だった。家政婦の大橋や父の部下・上野らと、楽しい日々を過ごす。だが、裏では最凶の犯罪者であるペドロが暗躍していた。超人的な身体能力と鋭敏な頭脳で、島民たちを殺害し、また拉致していく。
　ある日、零士はペドロと再会した。ペドロは不思議な言葉を残し去っていく。結果、零士もまた島の事情に興味を抱くようになって…続きを読む