　「アジトには戻ってこれるか？」

　「明日までには」

　誰と喋ってるんだ？？

　アジトってここのことじゃないの？

　ってかやば！！

　もうこんな時間じゃん！

　今日は日直だから朝早くから支度してたんだ。

　ホームルームにはもう間に合いそうもないけど、１限目になら

　ガチャ

　ガチャガチャッ

　「どこに行く気？」

　「どこって…」

　学校に決まってる。

　この格好見えますか？

　8時半には教室に戻らなきゃいけないんですよ。

　だからここ開けてもらえます？？

　急げばまだ間に合うかもしれないし

　「逃げられないって言ったでしょ？」

　「冗談…ですよね？」

　「冗談に見える？」

　見えるか見えないかと言われたら見えない。

　もしかして、本当に拉致られてるのかもしれない。

　一抹の不安が頭によぎって、いてもたってもいられなくなった。

　多分ドアは指紋認証装置でロックされてる。

　こういう時はロビーの受付に連絡するか、セキュリティシステムと連動してるデジタル庁のダイヤルにチャットをかけるか、どちらかだ。

　…あれ？

　そういえばポケットワークどこにやったっけ？

　上着のポケットをゴソゴソしてみるが見当たらない。

　カバンをさっきの場所に置き去りしていることにも気づいた。

　こうなったら…

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい