第24話



 なんとかして出ないと…


 でも、どうすれば!?



 ズイッ



 少女はテーブルの下に手を伸ばし、カチャカチャと音を立てながら、ゆっくり近づいてきた。


 “銃“だ。


 銃を持ってる。


 怖すぎて物も言えなかった。


 頭の中がパニックだった。


 何か悪いことでもした…?


 そりゃ時々好き嫌いはするし、ついこの前もバイトに遅刻しかけた。


 思い当たるようなことはいくつかある。


 だけど、殺されるような間違いは犯してない…はず



 ガチャ


 ガチャガチャッ



 いやだ…


 いやだいやだ


 死にたくない…!


 キミにまずいことでもした!?


 それなら謝るから!


 頭でもなんでも下げるし!


 ね、頼むよ!




 ピトッ




 彼女は手に持っていた銃を僕に渡してきた。


 ずっしりと重い感触。


 ゴツゴツしたグリップ。



 「これから必要になるから」



 …は?


 これから必要になる?


 必要って、…なにが?



 「使ったことはある?」


 「銃…ってこと?」


 「そう」


 「あるわけないじゃん!」


 「今度射撃場に連れてってあげるよ。そんなに難しくないから」



 …何を言ってるんだ?


 射撃場?


 そんなもの、近くにあるわけ…



 「ゲームで扱ったことは?」


 「時々…」


 「感覚としては同じ。構えて、撃つだけ。難しく考えない方がいいよ」



 いや、そういう問題じゃなくて



 なんで銃なんて持たなきゃいけないんだ?


 そもそも銃刀法違反じゃないの、これ


 渡された銃を返した。


 僕が“所持してる”って風には、思われたくなかったから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る