第3話


 「グァァ…」



 巨大な大男は少女の言葉に反応していた。


 …反応?


 それにしては様子がおかしい。



 …というか、あれは人間か…?


 黒色のシルクハットの下に見えたその“顔”は、人間の肌の色をしていなかった。


 色。


 形。


 そして、——目。



 「うわ!」



 声を上げてしまったのは、条件反射だった。


 それが「人間」だと認識するには、あまりにもかけ離れた見た目をしていたからだ。



 「“最下級魔導兵(クラスファースト)“一体で、どうにかなるとでも?」



 少女は腰に手を回す。


 視線は下に向いたままだった。


 大男が、少女に向かって右腕を振り上げているにも関わらず。

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