第5話


 ドチャッ




 …え?



 少女の右手は、すでに刀を抜いていた。


 少女の背丈くらいはありそうな長い刀身が、日の光を反射している。


 大男はすでに右腕を振り下ろしていた。


 振り上げていた腕が滑り落ちるように少女に向かい、ぶつかる。


 少なくともそう“見えた”のは、すでに避けられない距離に、2人が交錯していたからだ。


 宙に舞う、切り離された右腕の先端。



 ——それが、瞳の中に映るまでは。






 「…嘘…だろ…?」






 頭の中がパニックになった。



 …だって、手が…



 腕が、切り落とされてる…!




 切り口から血が滲み出ていた。


 骨と思わしき物が見えていた。


 それが一体「何」であるかを、即座に理解することはできなかった。


 大男の腕が、突然地面の上に降ってくるなんて…



 

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