第6話



 「グォォォォォォォッ!!」



 大男は怒り狂ったように声を荒げる。


 ボタボタと落ちる血液が、右腕があった場所から垂れていた。


 呼吸は荒く、眼光は鋭い。


 痛みは感じていないようだった。


 肘から上が切り落とされているにもかかわらず、それを庇う様子さえなかった。



 …どっからどう見てもバケモンだ…



 大男が人間じゃないことは、頭の中ですでに認識していた。


 人の形をしている“何か”


 けれどその「何か」が、具体的な言葉の中には出てこなかった。



 見たことがない外見。


 感じたこともない気配。



 得体の知れない“怪物“が、ただ、目の前で動いていた。


 ——それ”以外“には。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る