第22話



 “ステーションウォッチ”



 デジタル庁から渡されてる腕時計。


 オンライン通話も仮想通貨の利用も、これひとつで完結できる優れもの。


 ポケットワークがなくてもこれがあればなんでもできるんだ。


 自分の今の体調とかもオンライン通信で24時間管理されてるから、何かあっても…って、あれ!??



 「これをお探し?」



 いつの間にか外されてるステーションウィッチが、彼女の手の下でブラブラと垂れ下がっていた。



 …一体、いつ…?




 「これを付けられてると何かと面倒だからね。貴重品は預かっておいたよ?あと、チップも」



 “チップ”



 彼女が言ってるのは、首の後ろに取り付けられている『マイクロチップ』のことだ。


 生後間もなく、人は個々の住民票やその固有番号(クラウドネットワーク上のアバター情報)を識別できるように通信用の電子チップを装着される。


 首の皮下に超小型のカプセルを埋め込まれるんだけど、へんな違和感とかは特に無い。


 たまにチップの故障とかで入れ直す人がいるみたいだけど、本当に稀だ。


 取り外したことなんて、今までになかった。

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