第13話


 「とにかく、ここにいるのは危険だから」


 「危険…?」


 「キミは狙われてるの。世界がもう“感知”してる。データを改竄される前に動かないと」



 世界が感知?


 データを改竄される?


 …一体何を言ってるんだろう。


 呆然と立ち尽くしてると、彼女は手を引っ張ってきた。


 「ついてきて」


 そう言いながら。




 ハアッハアッハアッ



 

 通り過ぎる街の喧騒。


 交差点に入り乱れるクラクション。


 僕は混乱したままだった。


 目の前で起こったこと、謎の女子高生。


 街中のビル群を抜け、細い路地を走った。


 物陰に隠れながら、できるだけ人目のつかない道を通っていく。



 線路下のトンネル。


 バスターミナル横の通路。


 ビルの屋上。



 「うわああああああッ」



 悲鳴を上げたのは、僕が今までに通ったこともないような「道」を、彼女が“渡っていたからだ”。


 彼女の走るスピードについていけなくなって、膝に手をついて息切れを起こしてた。


 そしたら——



 「翔ぶよ」



 その「言葉」が、文字が、いったい何を意味しているのかがわからなかった。


 翔ぶ


 意識が追いつかなかった。


 地面のコンクリートが凹むほどの衝撃で、空中に飛び上がったことに。

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